台湾では2019年4月に仮想通貨の取引のための実店舗がオープンしています。
ちなみに仮想通貨という呼び方は「暗号資産」という呼称に変更されてきています。
日本人にとっては、かつてのビットコインフィーバーにより、一般的に仮想通貨の方が馴染みがある呼び方かもしれませんが、仮想通貨は”通貨”という概念には当てはまらないということから暗号資産という名前に変わったのです。
日本ではいくつかの仮想通貨(暗号通貨)取引所があり、多くの人がビットコイン、イーサリアム、リップル、ビットコインキャッシュ、そのたアルトコインを保有しています。
それらの目的の大多数は投機です。
将来、それらの暗号通貨の価値が今の価格よりも上昇するだろうという希望から、値上がりしたら売却(日本円に交換)することを目的としていると思います。
つまり、暗号通貨の実用性という未来に投資しているわけではないということです。
だからこそ、仮想通貨は”通貨”ではないと言われるのです。
アメリカドルや日本円はそれぞれの国(政府)が価値を保証してくれますが、仮想通貨はその価値を保証担保してくれるバックがいません。
みんなで管理しようねという「ブロックチェーン」という技術が生み出したものであるため、みんなが信用して使うということが成立しない限りは通貨としては成り立たちません。
最初は投機目的で参入する人が増えたとしても、それは別に悪いことではありません。
注目されたり、認知度が高まることで「みんなが使っている」という安心感が信頼感に変わっていくので、やがて暗号資産は仮想通貨という呼称に戻ってくる可能性はある。
ただ、その価値の保証はいつまでたっても明確な「誰」ということが言えないままであることは変わりありません。
なので、ビットコインのような暗号資産は当面、国際貿易の送金に使われる可能性は低いのではないかと思います。
価値の安定性というものに欠如するからです。
とりわけ、ビットコインはみんなで管理しようという非中央集権的な通貨という概念のもと創り出されたわけですが、実質、現在世界中にあるビットコインのマイニングは70%が中国企業が行っています。
中国企業は中国政府からの決まりによって、外貨の保有率に制限がかけられています。
「お前ら、あまり外貨を持つなよ」と押さえつけられているのです。
中国政府としては、国内の企業が自国の通貨ではなく外貨を多く持つようになるとコントロールしにくくなるからですね。
企業側としては、いつまでたってもどんなに儲けても中国政府の言いなりになってしまいます。
そこで、目を付けたのが仮想通貨。
仮想通貨は外貨にあたりません。
なので、こぞってビットコインのマイニングに参入する企業が増えたのです。
ビットコインが世界中で有名になると、投資目的あるいは投機目的によって利用者が増え、スケーラビリティ(利用者や仕事の増大に適応できる能力・度合いのこと)の問題が発生してきています。
そのため、ビットコインのマイニングには大量のコンピューターを使用します。
そのため、消費電力も半端ない。
膨大な電力消費があるため、マイニングが有利となるのは電気料金の安い国です。
また、コンピューターを大量に使用すれば、コンピューターから発せられる強力な熱を冷まさないといけません。(冷まさなければオーバーヒートしてしまう)
ということは、コンピューターを冷やすのに適しているのはモンゴル内地や中国のような寒冷地です。
ここなら、電気代も安い。
今、世界の70%のビットコインのマイニングを中国企業が行っている理由がここにあるのです。
でも、みんなで管理しようねと言っていたビットコインなのに、「みんな」が「中国人」に変わってしまっていることに違和感を覚える人が少なからず出てきていることも事実です。
かつては理想の通貨と期待されていたビットコインですが、利用者が増えることによる新たな問題の発生が解決されないまま現在に至っていると言えるでしょう。
ビットコインに対抗するアルトコインや暗号資産とは言えるかどうか議論がある「リップル」や「リブラ」「ヴィーナス」が今後は国際貿易における送金のカギを握るのではないかとも思えます。
リップルはリップル社が管理する暗号資産で、国際送金をより便利に早く行うブリッジ通貨としての位置づけです。
リブラはFacebookが今年になって発表した、世界の各国政府に頼らない複数の選ばれた企業(莫大な資産を保有する企業)がその資産力によって価値を保証する仮想通貨(暗号資産と呼ぶか仮想通貨と呼んでよいかは微妙・・・)。
とりわけ、リブラはステータスコイン(価値が安定している通貨)として流通させたいという思惑から、世界中の各国政府から袋叩きにあっています。
その理由は、リブラが世界中で使われるようになると、もはや国が発行する通貨が価値を喪失してしまう可能性があるからです。
そうすると、国の特権であった通貨の流通量をコントロールして経済のコントロールをするということができなくなってしまうのです。
他にも、リブラはFacebookが作ったものであり、世界中に26憶人ともいわれるFacebookユーザーとリンクすることは目に見えています。
国に信頼できる金融機関がない人でも、スマホさえあれば世界中で信用して使えるリブラという通貨があれば安心でしょ?ということを言っているわけですが、その見返りとしてFacebookは個人情報を得るのです。
個人情報があれば、それをもとに新たなマーケティングやビジネスに役立たせることができるというのはFacebookのねらいです。
でも、そういった一連のなかでは情報漏洩の問題点もあります。
世界の各国政府が懸念するのは、1つ2つではないということです。
そこに目を付けたのが、ヴィーナスです。
これは、仮想通貨取引所大手のバイナンスが発表した、リブラと双璧をなす仮想通貨であり、リブラが世界中の人の情報を手に入れようとする通貨であるとする一方で、ヴィーナスは「地域版リブラ」と位置付けると称されます。
ヴィーナスについては情報が少ないため、今後の動向が気になるところでもありますが、リブラと異なるは法定通貨に連動したデジタル通貨であるということです。
つまり、ヴィーナスの管理者は政府であるということ。
ブロックチェーンを活用した、新たな法定通貨にしようということかもしれません。
なので、現在、為替という国と国の通貨単位が異なる状況が一変して世界中でヴィーナスという通貨に置き換わるかどうか。置き換えることができるのかどうか。
結局、国際貿易で仮想通貨が活用される日が近いのかどうかというと、それはわかりません。
各国の法定通貨が存在し続ける限り、仮想通貨と共存することは間違いありませんが、国際送金に高い手数料を取られる日が無くなるのは近いのかもしれないという期待はありますね。
とりわけ、有力なのがブリッジ通貨であるリップル。
送金速度も送金手数料も現在の比ではない。
リップルが実用されるようになったら、徐々にリブラやヴィーナスのようなステーブルコインが実用されていくのかもしれない。
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