YXR33、YXR3、YXR7の違い

ものづくり

冷間鍛造で使用されるパンチ・ピンの材料として日立金属のマトリックスハイスはよく目にします。

日本独自のオリジナル材料ですが、うちの協力会社である台湾の加工メーカーにも材料在庫があるので対応可能なんです。

 

日本の材料を卸している台湾の資材商社があり、そこから購入して在庫をもつようにしています。

その理由は日本向けにパンチ・ピンをよく製造しているからです。

 

日立金属のマトリックスハイスというと、YXR33、YXR3、YXR7があります。

YXRシリーズはマトリックスハイスであり、高速度工具鋼のマトリックス(基地)特性を維持しつつ、炭化物量を低減して靱性を向上させています。

つまり、割れにくい材料ということです。

 

本記事ではこれらの違いは何か?ということについて紹介します。



YXR33

YXR33はマトリックスハイスの中で靱性が高く、ヒートクラックが発生しにくい、また進展しにくい型材です。

この材料は冷間鍛造にはあまり使われず、温熱間鍛造金型に使用されるのが普通です。

熱処理条件・焼入れ:1,080〜1,140°C 油冷、ソルトバス(塩浴)
・焼戻し:550〜600°C
・硬さ:52~58HRC

 

YXR3

YXR3は高硬度(58-61HRC)で使用され、冷間用の高靭性型材です

SKH51(YXM1)、SKD11(SLD)の3~4倍の耐衝撃性を持っています。

耐摩耗性はSKH51より若干劣ります。

しかし、低速、低圧摩耗域では大差なく、また表面処理(窒化など)により、容易に耐摩耗性を増大することができます。

熱処理条件・焼入れ:1,100〜1,125°C 油冷、ソルトバス(塩浴)
・焼戻し:580°C
・硬さ:58~61HRC

 

YXR7

YXR7は、62-65HRCで高い靭性を示す、真空焼入れ可能なマトリックスハイスで、冷間鍛造金型に使用されます。

SKH51よりも引張強度が高く、工具破損の減少が期待されます。

 

焼き入れの条件は、耐摩耗性を重視するか、靭性を重視するかによって温度条件が異なります。

日立金属によると以下の条件が各々推奨されている。

耐摩性重視63〜65 HRC1160℃〜1180℃
油冷、熱浴、加圧ガス冷
540℃〜580℃ ×2回
靱性重視62〜64 HRC1120℃〜1160℃
油冷、熱浴、加圧ガス冷
550℃〜580℃ ×2回

使い分けについて

YXR33、YXR3、YXR7の使い分けについては、各現場における経験則によるところが大きいようです。

YXR33はメーカーでも推奨しているように温熱間鍛造金型に使うとして、YXR3とYXR7のどちらを採用するかは、実際に使ってみて良かった方にするという話が多い気がします。

 

ただ、YXR7は熱処理温度によって靭性や耐摩耗性の差があるので、熱処理条件を変えて試験をしないといけないです。

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