このブログには日本のみならず、台湾企業に勤める日本人の方からもコメントを頂いたりしますが、みんな色々と困っていることがあるみたいです。
とりわけ、台湾在住で台湾企業に勤めている方がメッセージをくださる場合、限って日本の客を相手に営業をされている方ばかりです。
彼らが困っていることというのは、日本人と台湾人の気質の違いが関係したことばかりで、どうしても客である日本人(日本の企業)の仕事のスピードや内容についていけない。。。という内容が多いです。
そんなコメントを受けては返事をしているうちに、私も「そうだよなぁ。うん。うん。わかる!」というようなこともあるんですが、仕方ないか・・・と言わざるを得ない状況の場合だってあります。
一体、どんな悩みをみなさんは抱えてメッセージをくださるんだ?と思ったあなたのために、ダークな部分もさらけ出さないとダメかなぁと思い、今回、思いつくことを書いてみることにしました。
このブログでは、台湾での部品加工のメリットとか意気込みとかを書いたりもしていますが、やっぱり困ったトラブルもいっぱいあるのは事実です。
ここでは、あくまでも主観的なことや、体験したことなどをもとに書きますので、これが全てではないことをご了承頂きたいです。
品質管理の問題の解決が苦手な台湾人?
私がお付き合いしている台湾や中国の加工メーカーに部品加工を依頼すると、図面通りという品質面では問題のないものが届くと思っていいです。
もちろん、NG品が出てしまうこともありますが、「何じゃこりゃ!?」というようなものはありません。
「安かろう、悪かろう」という時代はほぼ終わりと言えます。
少なくとも私がお世話になっている海外メーカーさんでは。
知人の話によると、未だに検査表は出ないし、直角度とか平面度を無視したハンドメイドみたいなゴミ部品が届くメーカーもあるみたいですが、それはメーカーの選別ができていないからに他ならないでしょう。
ダメなところはスパッと切るしかないです。
冷酷かもしれませんが、加工会社なんて星の数ほどあるんだし、粗悪な企業を相手にするのはよほど何か理由が無い限りは時間の無駄です。
さて、品質面ではそこそこ評価の高い印象がある台湾ですが実際はピンキリです。
特に日本向けの製品を製造している会社では、NG品を出さないようにする品質管理の対策面で色々と困ったことがいっぱいあります。
ある部品の製作依頼を出すと、国際輸送で製品が届きます。
メーカーによってまちまちだが、小さい金属部品だと錆びないように錆止めスプレーを入念にかけ、ビニールの袋に入れてある。
さらに、その上から緩衝材であるプチプチでグルグル巻きにしてあり、落としても製品が傷つかないようにしっかりと梱包されているのです。
梱包をほどくだけでも一苦労だけど、それくらいしっかりと梱包されているのは安心できますよね。
梱包をほどき、中から製品を取り出すとキレイに仕上がっています。
思わず「いいね!」と言いたくなる。
しかし、念のため寸法検査をしてみると公差が外れている、加工漏れがあるといったNG品が出てくることもあるのです。
そういったNG品はどこの国でも、どこの会社でも完全になくすことが出来ないほど”ものづくり”はNGとの闘いです。
だからこそ、NG品が出たあとの対策を講じることはとても大切なこと。
当たり前じゃないかと思うでしょうが、「そんなことない! 検査しているから大丈夫なはずだ! お前の検査がおかしいのじゃないのか?」と言われることも、たまにあります。
一方でちゃんと総経理(社長)や担当責任者が
「品質管理の改善をします! すいませんでした!」
と言ってくれる会社もあります。
しかし。
問題はこの「改善します」という言葉なんですよね。
基本的に台湾人は ”面倒くさい”ことは後回しをする気質が日本人以上に強い印象があります。
ダメなら次!みたいな感じで、もしもNGが出てうるさく言われるなら「やーめた!」みたいなところあります。
でも、その仕事が毎月100万円とか数百万円の仕事になるとわかったら、品質改善には真剣に向き合います。
現金な人たちだなぁと思うかもしれませんが、そんなもんです。
まぁ、日本人だって同じようなところはありますが、台湾と比べて日本の場合はスパッと「やめます!」とあまり言わないですからね。
ある意味、台湾人の方が商売上手なのかもしれません。
結局、何が言いたくて何が問題なのかと言うと、仕事の大小関わらず、日本人の客はリピート品なら品質の安定性を強く求めるわけです。
だけど、台湾人の「ダメならやめた!」という気質が強いので、会社を転々とする人も多いというわけ。
なので、前回製造を担当した人は、リピート注文が来たときにはいなくなっていることはよくあるんです。
すると、注文内容は同じリピートなんだけど、毎回毎回、作る人間が変わるのでNG率が上がったり下がったりするわけです。
日本の客からしてみれば、誰が作ってるとか関係ないわけで、何でリピート品なのに同じ失敗ばかりするんや!!となるんです。
会社の人員の入れ替わりが日本以上に激しい台湾企業では、品質管理をする人間も入れ替わるのが大きな問題となっていて、だからこそ、多品種小ロットの仕事は管理が大変なんです。
ここをどうやって解決したらいいですか?という質問メッセージは多いですが、正直なところ、息の長い社員を据えるしかないでしょうね。
見積回答が遅い!?台湾企業
もう1つ、お悩みメッセージとして多いのは「日本の客から見積回答が遅い!!」と叱られてしまうが、そんなものでしょうか?という内容です。
見積回答の早さというのは、業種・業界・内容によって違うと思いますが、自動車産業部品においては、基本的に驚異的な速さを求められます。
これは、しんどいところですが、見積依頼が来てから当日、もしくは翌日。
遅くとも2-3日以内というのが、暗黙のルールみたいになっています。
私の実感だと、一週間とか10日間も待たせてしまうと、もうその案件は無くなっていることが多いです。
もちろん、寸法精度とか量、サイズによっても回答日数は異なりますが、それだけの速さに対応しているライバル企業がうじゃうじゃいるんです。
それなのに、台湾の企業は見積依頼をしてから3日間はそのまま何もしないで寝かせておくようなことを平気でしているみたいです。
督促を入れて、早く回答してくれ!!
と言うと、とんでもない金額を出してきたりすることもあります。
もう、受注する気がゼロですやん。。。みたいな。
時間軸がちょっとズレているでしょうか?
でも、言っておきますが、全ての台湾企業がそうかというと、そうでもないです。
迅速に対応してくれるところもあります。
とにかく探すしかないです。
3Dデータがないと見積できない?
これも、まれに言われることですが、「データください」「3Dデータください」というもの。
今の時代、基本的に図面は手書きじゃなくて、CADを使います。
だから、本来は確かにデータはあるはずなんです。
でも、商流の問題とか図面のばら撒きとかでデータがどうしても支給してもらえないこともあります。
あるいは、ある程度の規模のメーカーだと、データ支給を禁止しているところもあります。たぶん、データ流出を防ぐためでしょうけれど、結局、製作する側でPDF図面からデータを作ってしまうと一緒だと思うんですけどね・・・
いまだに、ここのところが私も理解できないところです。
さて、そういうわけでデータがもらえないことって多いです。
だけど、台湾メーカーの多くはデータ要求してきます。
データがないと見積できないとか言われることもあります。
そういう時の苦肉の策は、私がデータをCADで作って渡してあげることもあるんですが、とにかく時間が掛かってしまううえに、見積をしてもらっても注文にならないこともあるわけで、無駄な作業をさせられてしまうんです。
だから「データがないと見積できない」と言われた場合、ほとんどは台湾での見積もりを辞退するしかないでしょうね。
見積したのに、注文になったら「図面の形状が理解できないと言い出す」
これは本当によくあります。
「えっ!?見積したやん!!」
と言いたくなるんですが、本当によくある。
形が想像できないから、3Dデータくださいとか言われるんですよ。
はい、でた。「データください」のフレーズ。
データなんか、無いっつーの!!
簡単な形状のものとかなら、パッと見てざっくり計算で価格を出すことはあります。
だから、たまにネジがMネジだと思ったらインチネジだったとかはあります。
でも、「形状が理解できないんですが・・・」と言われたら、どうやって見積したのか逆に聞きたくなりますよね?
え? そんなもん?
どうなんでしょう。
確かに、図面をみて想像していた形状で作ろうと思ったら、”何かおかしい”というようなことはありますよ。
その場合、「図面にある、ここの部分の線は何を意味しているんですか?」という質問をすることはあります。
でも、違うんです。
全体像がわからんと言い出すもんだから、困るんです。
たぶん、見積も本当に適当なんでしょうね。
やっぱり加工できないと言い出すことがあった
今でこそありませんが、見積をして注文をだしてから暫くして「この部分がやっぱり加工できませんので、御社(日本)でお願いしてもいいですか?」ということを言われることもありました。
マジかよ!!!
です。。。。
本当に。
中国の企業だと、この部分の研摩がやっぱりできませんということはあります。
そういう場合は、研摩前で止めてもらって、日本で対応することはありますが、予定が狂うので困りますね。
他にもいろいろ
ここには書いていないような細かいことは、思い出せないだけでたぶんあったと思います。
ただ、台湾企業だからという部分は多少なりとあっても、どれだけ親密な関係を築けるかが重要だと思います。
日本、台湾関係ないと思います。
個人的には、ここ数年、台湾は価格勝負という面では後手に回っている感じがしますので、もうちょっと違うメリットを前面に出せるような何かを見つけていかないといけないかなぁなんて思ったりしているとか、していないとか。
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