鴻海のライバル『台湾ペガトロン』の株が急上昇している理由

ものづくり

台湾では鴻海精密工業のライバルとして、電子機器のOEM大手ペガトロンという会社があります。

主に米アップル社からの受注が多いのですが、ここ最近になって株価が上がっているみたいです。

その理由は何故でしょう?



鴻海の郭台銘会長が台湾総統選に出馬する計画を発表したから

政治の世界は複雑ですが、時に単純。

ペガトロンの株価急騰の理由とされるのは、台湾総統選に出馬する計画を発表した鴻海精密工業の郭台銘会長にあります。

 

鴻海といえば、日本のシャープを買収したとして認知度が高い会社ですが、年間19兆円を超える売上を誇る巨大企業になっているのです。

そんな巨大企業をたった一代で築き上げた郭台銘会長は、兼ねてより親中派として有名です。

 

ご存知の通り、台湾は中国とは独立・反独立という大きな問題を抱えています。

そのため、日本やアメリカは台湾とは国交を結んでいないのです。

その背景にあるのが中国だからです。

 

中国は台湾の国際参加を排除している状況ですが、アメリカはやがて台湾と国交を結ぶような動きを見せるかもしれないと意見する人もいます。

そうなると、米中関係に益々ぎこちなさが膨張しそうです。。。。


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米・中・台の顔色を伺っていた郭台銘

郭台銘が台湾総統選に出馬することがどれほど、ハイテク産業に大きな影響を及ぼすのかということは、これまでの郭台銘の動きや発現を見ていれば分かります。

例えば、2017年にはアメリカのウィスコンシン州にパネル工場の新設を発表し、2019年には台湾の高雄市にデータ関連工場の建設発表もしています。

高雄市といえば、親中派の政治化が実権を握っているとされる地域ですから、ここに工場を作ると言えば、中国としても納得できるわけです。

 

これらは、米・中・台への配慮であることは明らかです。

 

鴻海は台湾に本社がありながら、ほとんどの生産拠点を中国に持っています。

アップル社の部品から組立もほとんど中国です。

郭台銘が親中派である理由は、こういったビジネス背景があるからかもしれませんが、仕事を受注するためにはアメリカにもよい顔を見せておかないといけません。

 

だから、アメリカで工場を作ってアメリカの雇用に貢献するよ!

台湾にも工場を作って、台湾の雇用に貢献するよ!

そんでもって、中国のことを想って高雄市に決めるよ!

ということですね。

 

ただ、これらの計画はまだ実行に移っていませんが。。。

(いつになるのやら)

 

台湾総統選への出馬で突き刺さるアメリカからの視線

郭台銘は台湾総統選への出馬は、台湾の海の女神として崇められている媽祖からのお告げだと言っていますが、まるでジャンヌダルクを思わせるような発言だなと感じたりもしないでもない。

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ただ、問題は郭台銘が台湾総統になることに懸念を示すのがアメリカであるということです。

今、アメリカは中国との貿易状況がよくありません。

トランプ大統領の関税引き上げ発言から始まったことですが、ここにきて、親中派の郭台銘が台湾トップに就任するとなっては、中国が掲げる「一つの中国」に前進することは明らかであるからです。

 

おそらく、習近平が語った「一国二制度の台湾モデルの模索」ということが、大きな影響を彼に与えているのかもしれないです。

要するに、香港やマカオと同じように、台湾にも独自の制度を設けて今までと変わらないように配慮しますよという譲歩策です。

 

しかし、アメリカとしては中国共産党の影響が強くなるため、今までと全く同じようにというわけにはいかないだろうと考えるわけです。

当然ですね。


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ハイテク産業の構図が大きく変化する?

当然ですが、台湾総統・郭台銘が誕生した場合、鴻海の米アップルからの受注量に影響が出る可能性は大きいでしょう。

政治の世界に踏み込んだとしたならば、郭台銘はこれまでのように、みんなに良い顔をするというわけにはいかなくなるわけです。

 

鴻海もトップの座が変わる可能性もあります。

これはOEMの多くを受け持つ鴻海の影響が世界中に拡散するという意味を持ちます。

 

とりわけ、アップルの場合は鴻海のライバル会社であり、同じ台湾企業のペガトロンに大きく発注の乗り換えをするのでは?という予測が機関投資家の間で湧き上がってきているのでしょう。

それ故、ペガトロンの株価急騰を招いているとされます。

 

ただし、これは一時的なものだと思います。

まだ、台湾総統・郭台銘が誕生するとは決まったわけではないですし、台湾の人たちが彼の出馬をどれほど支持するのかは、蓋を開けてみないとわからないからです。

今後の選挙結果には注目しないといけません。

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