昨今、デザイン業界において、国内外問わず数多くの祭典や授賞式が行われています。
このようなデザイン賞を受賞する商品は、特定の機関や団体の審査基準を通過してそのデザイン性の高さを評価されており、私たちの暮らしをより豊かなものにランクアップさせてくれています。
今回は、そのようなデザインに関する祭典の中から、台湾発の中華圏を対象としたデザイン賞、「ゴールデン・ピン・デザインアワード」を紹介します。
「ゴールデン・ピン・デザインアワード」って何?
ゴールデン・ピン・デザインアワードとは、「台湾経済部工業局」の管轄、主導のもと、1981年から続く大規模なデザイン賞です。
漢字では「金點設計獎」と表記されます。
現在は、台湾、中国、香港、マカオ、シンガポール、マレーシアなどの中華圏での販売実績がある企業を対象に、デザイン性の高い商品を募集し、エントリー作品から「ゴールデン・ピン・デザインアワード」を選出します。
その中で、最も優れていると評価されたデザインが「ベスト・オブ・ゴールデン・ピン・デザインアワード」として選出されるシステムです。
なお、ベストと表記されますが、この賞は毎年複数の作品が受賞しています。
応募部門はプロダクトデザイン、ビジュアル・コミュニケーションデザイン、パッケージデザイン、空間デザインの4つとなっており、幅広いジャンルからのエントリーが可能です。
ゴールデン・ピン・デザインアワード活用のメリット
「中華圏の市場ニーズを満たす優れたデザインを選ぶ」というコンセプトで、主にライフスタイルや、テクノロジーなどに重きを置いたデザインを奨励しています。
国際企業は、中華圏内の現地法人、公式ディーラーを通じて応募することも可能であるため、2015年あたりからはエントリー数が大幅に増え、中華圏にとどまらず世界中から2,000件を超える応募総数となる年もある大規模な賞となりつつあります。
また、中国で行われたデザイン見本市やイベントなどでは、ゴールデン・ピン・デザインアワード受賞商品を集めたブースができるなど、アワードの認知度や商品の品質も社会に認められてきているので、自分たちのデザインをより広く知ってもらえるチャンスが増えるということになりますね。
例えば、2015年12月には台湾の大手である「SOGO百貨店」と提携し、受賞商品販売イベントを開催しています。
普段とは違った角度から消費者へのアプローチが可能となり、デザイナーだけでなく、百貨店側にもメリットをもたらしています。
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台湾が「ゴールデン・ピン・デザインアワード」を手がける理由
このゴールデン・ピン・デザインアワードですが、どのような目的で運営されているのでしょうか。
台湾は、産業デザイン社会国際会議による都市振興プロジェクト「ワールド・デザイン・キャピタル2016」というイベントの開催国になっており、現在は中華圏での前衛的なデザインにおいて、国際社会からかつてないほどの注目を集めています。
このような状況下で、台湾では現代中華圏デザイナーに、海外での認知度を上げるステージを作り出すことを目的としています。
台湾でのデザインアピールが、世界へのアピールにつながるというわけです。
そのため、可能性を広げる窓口として、世界各国のデザイナーがアワードの受賞にトライしています。
また、世界に通用する革新的なデザイン商品やプロジェクトを「探す」目的も持ち合わせています。
世の中には、まだ日の目を見ていないデザインが数多く存在し、なおかつ毎日のように世界のどこかで生まれ続けているのです。
この祭典を開催することで、レベルの高いデザインを集め、一度に審査することが可能となります。
バイヤーとデザイナーの需要と供給が揃うまたとないチャンスなのです。
したがって、この祭典ではデザインプロジェクトを促進するデザイナーや企業の参加を強く奨励しています。
「ゴールデン・ピン・デザインアワード」が社会にもたらす影響
まず、ゴールデン・ピン・デザインアワードでは、次のような審査基準を設けています。
「統合性」
ターゲット市場のニーズへの包括的な適合
「革新性」
コンセプト、機能、素材の独創性
「機能性」
ターゲット市場が求める機能および操作に関する要求事項への適合
「審美性」
製品、プロジェクトの独創的な特徴や思想の表現
「伝達性」
ターゲット市場特有の文化的特性への配慮(ビジュアル・コミュニケーションデザイン部門)
この審査基準からわかるように、この賞では「ターゲット市場」へのアプローチの仕方が重要です。
デザイナーの独創性も問われますが、「デザイン」のコンテストですので、いかにユーザーに心地よいデザインを提供できるかがポイントになるわけです。
そして、アワードはこの審査基準を十分に満たすものに贈られることとなりますが、これがゴールデン・ピン・デザインアワードの社会に与える影響の源になっています。
ユーザー目線の厳しい審査基準を設けているからこそ、よりライフスタイルに浸透しやすいデザインが生まれ、ワンランク上の暮らしを実現するためのカギとなっているのです。
このような商品を審査、評価し、市場に送り出しているわけですから、前述のとおり、当然ゴールデン・ピン・デザインアワード自体の社会的評価も上がってきています。
ハイクオリティな賞として認知されてきていますので、このアワードは中華圏での活躍を狙うデザイナーや企業にとっての登竜門となるでしょう。
最近、台湾のデザイナーと提携して商品開発をする日本企業も出てきているように、このゴールデン・ピン・デザインアワードをきっかけに、面白く、楽しいデザインのある生活が私たちの周りに増えていくのかもしれませんね。
あなたも、デザインに自信があるならエントリーしてみては!?

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