2019年、春節と言われる旧正月を迎えて、台湾や中国などをはじめとして新年を祝う人々が日本にも旅行に訪れていました。
日本各地も旧正月を利用しての観光客の訪日でにぎわっているところがたくさんありましたが、台湾、中国の観光客が目指す目的地の一つとして、今回注目を浴びている場所があります。
そこは東京国立博物館です。
「え、博物館?」と思われた方もいるでしょう。
実は今回ここの特別展として開催されて展示されている物がとても重要な物なのです。
台湾の故宮博物館が所蔵する、中国の唐代の政治家で書家であった顔真卿の作品が初来日して一般に開放されています。
実はこれってとんでもなくニュースなのです!
(開催は2/24まで)
顔真卿ってどんな人なの?
中国の歴史に詳しい人や、書をたしなむ人は知っている人が多いようです。
顔真卿は安禄山が起こした当時の朝廷(唐)への反旗の折に、周りがその勢力に下り帰属するなかで、義兵を挙げ奮迅ました。
安史の乱が落ち着き、唐への忠誠を変わらず持ち続けましたが、任務の途中で朝廷を面白く思っていない勢力に拘束されて殺されてしまったのです。
この時相手方の李希烈は顔真卿をとても惜しみ、自らの配下に下らせようとしましたが、顔真卿が書いた「天中山」の一言で、胸中を察して断念をしました。
朝廷への忠実なる思いが彼の人生にはにじみ出ていて、忠孝を重んじる台湾・中国では歴史上で屈指の忠臣として崇められている人物です。
なんで日本なんだ!?
ただ、この展示に関しては、台湾及び中国からの批判もあったほど話題になっていました。
そりゃそうですよ。
今回日本で展示されている顔真卿の「祭姪文稿(さいてつぶんこう)」は真筆、顔真卿が自ら記した作品であって、複製ではありません。
これって安史の乱の時に従兄の子供が死んだことを嘆いて書いた作品ですから…1250年くらい前の作品なんですよ!
もちろん国宝級の作品です。
しかも、これほど前の作品ですから、紙とかも痛みが激しいんですよ。
作品を開くたびに壊れていくなんて言われているほどです。
その上所有している台湾でも、過去3回しか展示されていない作品なんです。
人気の作者で人気の作品。
それでいて人前に出ることが極端に少ないのですから、なんで他の国なんだって言いたくなりますよね。
ちょっと強調表現が過ぎるかもしれませんが、それくらい貴重な歴史産物なんです。
東京国立博物館だからこそ!
批判はありますが、中国からは2012年に北宋時代の張択端の作品「清明上河図」や2014年には今回と同じく台湾から蘇軾の作品である「行書黄州寒食詩巻」を借り受けています。
どちらも顔真卿の「祭姪文稿」と同じ価値を持つ作品です。
東京国立博物館は貴重な文物の受け入れにも実績があるのです。
今回の開催は日本のみならず、顔真卿を一目見たいと切望する海外からの訪日客にも需要がありました。
国立博物館は中にいくつかの展示棟を有しています。
上の写真は正面の門からです。
国立博物館はこの構えで思えている人が多いでしょう。
実際の展示はこの建物の奥にある別の建物で行われています。
作品の前に立って、ただただ眺めているだけで、悠久の時を経て目の前にある作品にわけもわからず気圧されることでしょう。
…ただ、ものすごく気になってしまうのは、収蔵印です。
上の写真でも確認できますが、字の間に赤いハンコが押されていますね。これって、手に入れた人たちがその都度、「俺のモノ~」って言って、自分が持ってる証拠として印鑑を押してしまうんですよね。あり得ない…。
まだ、行間に押すとか、紙の端に押すとかならわかりますよ。
でも顔真卿が書いた文字の上に押しちゃっている人もいるんですよ。
今回の作品に係わらず、台湾の故宮博物館にある絵画などの作品にも収蔵印が押されています。
絵の上にべったりと…。
どう思います??
顔真卿の特別展は2月24日まで
それでも、貴重な文物を実際の目で見ることはとても希少な体験です。
どの時間に行っても混雑は必至ですが、時間を都合してでも見る価値のある作品です。
開催は2019年2月24日(日)までです。
週末よりも平日の方が人も少ないでしょう。
次の日本での展示はない作品だと思ってもいいかもしれません。
興味がある人はこの機会を逃さないようにしてください。
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