身近に忍び寄るマネーロンダリングの手口とは?

ものづくり

ニュースなどを見ていると、マネーロンダリングという言葉を耳にすることがあります。

直訳すると資金洗浄という意味ですが、実態はよく知らないという人も多いのではないでしょうか。

 

海外送金など行っていないし自分には関係ないと思っている人でも、電子メールや求人サイトを通じて知らない間にマネーロンダリングの手助けをしてしまっていることもあります。

 

マネーロンダリングは世界的にも大きな問題となるため、アジア太平洋地域のマネーロンダリング(資金洗浄)対策推進を図る枠組みである「アジア太平洋マネーロンダリング対策グループ」(APG)という国際組織も誕生しています。

 

台湾はAPGに1997年の設立当時から加盟しているのですが、一部銀行の海外支店で法令違反が発生したのを受け、2011年に強化追跡監視対象に格下げされました。

このままでは、台湾の金融業は多大な影響を受けることが予想されるため、台湾はマネーロンダリング対策を担当する専門部署の立ち上げや法整備、金融機関に対する海外支店への監視強化や内部統制向上などの要求などに力を入れているところです。

 

 

マネーロンダリングとはいったいどういったものなのでしょうか。

 



そもそもマネーロンダリングって何?

マネーロンダリングとは、不正・違法行為によって得たお金を出所が分からないようにする行為のことです。

 

よく知られているのが、複数の銀行間でお金を何度も移動させることで、もともとの出所を分からなくさせようという方法です。

実際には現金だけでなく、物品に形を変えたりしてマネーロンダリングは行われています。

 

例えば横領などの違法行為によって大金を得たとします。

そのお金で高級腕時計や宝石などを購入し、販売することで再び手元に現金が残るという仕組みです。

 

なぜこのようなことを行うのかということですが、理由は人それぞれでしょう。

最も多い理由としては、マネーロンダリングをしておくことで、万が一捕まったときにも没収されにくいという事があげられます。

 

違法行為をして得たお金をそのまま持っていれば、逮捕された時には当然没収されます。

しかしマネーロンダリングによって別のお金として処理してしまうと、没収されずにそのまま手元に置いておくことが出来るわけです。

もし自分自身が収監されたとしても、家族や仲間がお金を管理して出所した後に自由に使えるのです。

 

マネーロンダリングというと、巨額なお金が動くというイメージがありますが、そればかりではありません。

少額であっても行われています。

個人で行っていることも多く、不正に得たお金でiTunesカードやAmazonギフト券を購入し、オークションサイトで販売して再びお金に変えるといった手口は一般的によく使われていると言われています。

 

新たな手口と言われるマネーミュール

世界的にマネーロンダリングへの対策が強化されている中、日本はまだまだマネーロンダリングへの取り組みが遅れていると言われています。

現在金融機関のATMでは、10万円以上を現金で送金することが出来なくなりました。

 

これもマネーロンダリング対策の一環です。

しかし新たな手口も出てきており、マネーミュールと言われています。

 

具体例としては、求人サイトに登録した一般人に対して、「仕事がある」というメールが送られてきます。

求人に応募してきた人が、預かったお金を送金することで、手数料として送金額の1割ほどを受け取れるという仕事です。

 

自分の口座に振り込まれたお金をそのまま海外の口座に移動させたり、送金には外資系の資金移動業者を利用したりすることもあります。

自分の口座を他人に売るといった犯罪行為ではなく、ただ単に一時的に貸すだけのために重大な犯罪行為に手を染めているという意識が乏しいのです。

 

マネーミュールは国際的な組織によって行われていることが多く、犯人を特定することが極めて難しいとされています。

ただ、知らない間に送金という形でマネーミュールの一端を担いでしまうと、送金記録から犯行グループのひとりとして扱われます。

 

ちょっとしたバイト感覚で行ったことが、大変な犯罪に巻き込まれてしまう結果となるのです。

 


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仮想通貨もマネーロンダリングに狙われやすい

仮想通貨

現金でのやり取りは、金融機関が今後力を入れて対策していく方針を固めています。

一方で、今後狙われやすいと見られているのが仮想通貨などのインターネット上の取引です。

 

特に仮想通貨は匿名性が高いサイトを利用する事で、不正アクセスによって得た仮想通貨を短時間で資金洗浄できてしまうリスクが高くなっています。

仮想通貨自体はマネーロンダリングしにくい仕組みです。

 

しかしそれを扱う取引所が適正な管理を行っていないと、リスクは格段に上がってしまうのです。

仮想通貨の管理で重要なブロックチェーン技術は、マネーロンダリングを拒む効果が高いと言われています。

それらを適正に利用していない取引所が存在することが問題なのです。

 

今後マネーロンダリング対策として有効なのは、国際的にマネーロンダリングを監視することだと言われています。

そのために国際的な期間も発足しています。

 

1989年に設立された金融活動作業部会(FATF)は、世界の主要国35か国が参加している組織です。

マネーロンダリング対策やテロ組織への資金流出などに対して、かなり高い成果を上げています。

 

しかしここに加入していないアジア・太平洋諸国に資金を移動させて、洗浄することが急増してきました。

そこでマネーロンダリングの抜け穴となる国をなくすために1997年に設立されたのが、冒頭でも例に出したアジア太平洋マネーロンダリング対策グループ(APG)です。

 

世界はこのふたつの国際機関によってマネーロンダリングを対策しています。

国内金融機関だけでなく仮想通貨の取引所も、こうした国際機関の対策方針に従うことがマネーロンダリングを防ぐ最大の方法と言われているのです。

 

早急な対策が必要とされるマネーロンダリング

マネーロンダリングは不正・違法な手段で手に入れたお金を、送金や物品に形を変えることで別のお金に変えてしまう方法です。

 

巨額なお金が動くとイメージしがちですが、一般人が電子マネーを利用して行うこともありますし、利用する人が急増している仮想通貨も狙われやすいものです。

 

最近、日本の町工場レベルでも台湾や中国、韓国などと貿易をすることを検討している会社が増えています。

特に、人材がいない業界はどうしても海外生産力に頼らざるをえないからです。

しかし、実際に取引をするにあたってはお金の動きが伴いますので、新たな海外取引先にいざお金を海外口座に送金しようとしても認めてもらえなかったり、かなりの時間を要することがあります。

 

これもマネーロンダリングを懸念する動きの一環なのかもしれません。

 


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