台湾と日本で違いがみられる『風水』

台湾文化

風水は、日本でも日常生活に良く取り入れられていますが、どちらかといえば幸運のおまじないのような感覚ではないでしょうか。

風水をあまり強く意識して生活することはないですし、時には少し胡散臭さを感じる人もいるかもしれません。

 

一方、台湾では風水の考え方が深く浸透しており、風水に対する信頼性もかなりのものです。

台湾と日本では、風水に対する考え方だけでなく重視する内容等についても様々な違いがありますので見ていきましょう。

 



風水の影響力

日本で風水といえば、運気をよくするためのおまじないの一種ととらえられがちです。

その内容についてはある程度浸透しており、黄色や金色の長財布あるいは白蛇財布など開運の財布を持っているとお金が貯まりやすい、トイレや水回りをきれいにしておくと悪い気がたまりにくいなど、簡単に実践できるようなものならば試している人も少なくありません。

あなたも健康運、金運など様々な運勢をよくしたいと願い利用しているのではないでしょうか。

しかし、日本全体でいえば風水を信じているのは一部の人だけであり、大きな決断をするときなどにまで頼ることは稀です。

 

一方、台湾では風水の影響力は想像以上に大きいです。

例えば、縁起の良い数字やオブジェなどを大規模な建築物に取り入れたり、風水で大きな買い物や商談の決断などをしたりすることもあるほどです。

 

面白い例としては、2016年に台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業によるシャープ買収が行われましたね。

これは3月30日に両社の取締役会で議決されたことですが、実際にその買収調印式が行われたのは4月2日。

 

通常ならば日本では企業の重要案件は株価に影響するため、株式市場が閉まった平日の午後3時以降に行うものと決まっているし、できることならば早く調印を済ませたいので買収を決めた翌日の3月31日の午後にでもするべきかと思います。

しかし、実際は3日後の4月2日。

この年の4月2日は土曜日ですし、疑問の声もあったがその裏側には「縁起を重視する郭会長の意向」があったとされます。

 

3月31日は暦の六曜で「赤口(しゃっこう)」にあたり縁起が悪い。

4月1日は、エープリルフールなので嘘か本当か紛らわしい。

4月2日は「風水でも良い」。

だから4月2日に決めたということです。

結局、風水で企業買収を決めたということにもなります。

 

また、日常生活においても風水から影響を受けていることは多く、切っても切り離せない関係にあります。

例えば、古くから風水を取り入れている台湾や中国などでは、もとからある気の流れを止めないように、高層ビルに巨大な穴をあけたり、デザインを工夫したりと風水の思想を重要視しているのです。

 

代表的なものが観光地としてもよく知られている台北101で、気の良い場所を選んでいるだけでなく、建物の設計もその気を逃がさないように工夫されています。

さらに、このビルの様々な場所で、龍頭や如意など、吉祥を意味する装飾が施されているのです。

 

台湾は風水でも良い気が流れる場所になっており、このような大きな建造物から毎日の生活まで、幅広く風水の考えが浸透しています。

 

環境の違い

風水

風水の思想は数千年の歴史がありますが、日本に伝わってから日本流にアレンジされた部分も存在します。

 

例えば、台湾では風水で家を選ぶときに重視するのは土地の場所です。

背後に高い山、前方に川や海、左右に低い山や丘がある場所が繁栄につながるといわれていますが、土地が良ければ家についてはそれほど重視しません。

 

一方、日本では住む場所よりも家の間取りや方角を大切にする傾向にあります。

窓の位置や部屋の方角など、日当たりの良さや風通しを考慮した家相学です。

 

日本の風水に従って家の間取りを考えると、人が多く集まる場所は日当たりが良く、全体的に風が抜けやすくなります。
これは、台湾と日本の環境の違いによるものです。

 

台湾では住宅がそれほど密集しておらず、季節によっては非常に乾燥しているため、風通しや過ごしやすさなどをそれほど考慮して家を建てる必要がありません。

一方、日本は周囲を海に囲まれて雨の量も多く、湿度が非常に高い上に住宅が密集しています。

そのため、暮らしやすい家を作るには間取りは非常に重要になっており、風水でも大きな割合を占めるようになったと考えられているのです。

 

台湾とは異なり、日本は風水の条件を満たすことができる土地を簡単に手に入れられないという事情も、家の方をより重視するようになった背景の一つといえるでしょう。

 

また、余談かもしれませんが広大な土地がある中国と台湾でも風水の捉え方が少し異なることがあるようです。

元々、風水という思想の発祥は中国ですが、1940年代の共産党による革命によって多くの風水師が粛清されました。

その時、多くの風水師が香港や台湾に逃げ延びたとされ、現在の中国に残る風水と香港・台湾にある風水は違うものとなったとされます。

見方によれば、本物の風水は香港と台湾にあると言えるのかもしれません。

 


sponsored link

吉凶方位の認識

風水でも方角について言及されていますが、日本ではさらに鬼門を重視しています。

そもそも、台湾では生まれ年など自分では変えようのない個人の運命によって吉凶が決まると考えられていますが、日本の家相ではもとからある運命とは関係なく、家の間取りや向きなど自分の力で吉凶を変えることができると考えているところに大きな違いが見られます。

 

吉凶方位の中でも、日本では北東の鬼門や南西の裏鬼門などが忌み嫌われており、玄関やトイレなどのポイントとなる箇所をこの方角に設置しないように注意を払って設計しています。

台湾における風水の考え方では、人によって同じ方位でも吉相となる場合とそうでない場合があるのに対し、日本では誰がそこに住むとしても、吉相の方角と鬼門となる方角が決まっています。

このような違いが生じている理由は、ひとつには生活する環境が違うということが考えられます。

 

過ごしやすい家の間取りを追求した結果、風水で良いとされる住宅になったというものです。

それに加えて、死者が眠る家の方を重視する台湾の風水とは異なり、生きている現在の家を重視する日本の考え方との違いも影響しているのです。

風水が生み出された中国は土葬が主流だったため、死後に眠る墓を重視していました。

一方、日本では火葬が主流であり、自由にお墓の場所を選べないなどの事情があって、お墓よりも現在住んでいる家を重視するようになっているのです。

 

違いを理解して自分らしく取り入れましょう

このように、同じ風水でも台湾と日本では重視するポイントや考え方に違いが見られます。

とはいえ、源流は同じものですので、このような違いがあると認識したうえで自分がやりやすいように取り入れるとよいでしょう。

 

また、台湾の中でも、風水には様々な流派があります。

本場の風水の違いについて調べてみるのも興味深いものです。

 


sponsored link

コメント

タイトルとURLをコピーしました