闇タバコ事件を知らないと理解が難しい映画「悲情城市」

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こんにちは。台湾izm 管理人の平野です。

あなたは台湾映画『悲情城市(ひじょうじょうし)』を知っていますか?

1989年に台湾で製作された映画で、日本では1990年に公開されています。

日本人にとって、今の台湾は美味しいものがたくさんある観光地として人気がある国です。

しかし、今あるような台湾ができあがったのは1990年代に入ってからであり、まだまだ時代は浅いのです。

台湾の民主化が進む前、台湾は日本の統治下にありその後は蒋介石率いる国民党の支配下で国の形が作られていきました。

ですが、国民党による台湾統治は悲劇から始まるのです。

それを題材にしたのが、この映画『悲情城市』。

ですから、時代背景を全く知らない人はこの映画を観ても理解できないかもしれません。

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走了狗来了豚

前回、台湾は何故親日国なのか?というテーマで書いた記事でも紹介しましたが、日本が第二次世界大戦で敗北し、台湾の統治権を中国に返還しました。

その後、中国の国共内戦で破れた蒋介石率いる国民党が台湾に逃げてきます。

その逃げてきた国民党軍をみた台湾人が彼らを揶揄する意味で残した言葉が「走了狗来了豚」なのです。

直訳すると「イヌが去って、ブタが来た」ですが、イヌは日本人、ブタは国民党軍。

イヌはうるさく吠えるが番犬になる。

ブタはただ飯を食うだけで役に立たない。

そんな嫌味を込めた言葉であり、それだけ当時の台湾人が大陸から来た国民党軍に対して不満が高まっていたということです。

日本が台湾統治権を返上し、中国大陸から国民党軍が入港する当初は少なからず台湾人も「これでまた中国(祖国)に帰属することができる」と喜びはありました。

しかし、実際に入港してきた国民党軍は腐敗しきっており、その汚職のすさまじさに台湾人は絶望せざるをえなかったという。

質の悪い国民党官僚による汚職や横領によって、当時は日本の首都である東京と同じかそれ以上の経済水準を誇っていた台湾もやがて企業の倒産が相次ぎ、失業者も増加、経済状況はどん底まで落とされていきます。

日本統治時代に高等教育を受けた台湾人にとって、無能とも言える国民党は見るに耐えない様子だったことでしょう。

事件は起こる1947年の闇タバコ事件

蒋介石が台湾に入り、完全に大陸から撤退するのが1949年12月であり、1947年はまだ大陸内で国共内戦が続いていました。

なので、国民党軍でも優秀な精鋭部隊は大陸の前線にいたわけです。

つまり、この頃に台湾に入ってきた国民党(中華民国)の人間はお世辞にも優秀だとは言えなかったあるいは、無法地帯と勘違いしていたのかもしれません。

経済が悪化していた当時、人々はあの手この手で生計を立てていました。

その中には闇でタバコを売る人もいたという。

当時の台湾は日本統治下の制度をそのまま引継ぎ、タバコや酒、塩、砂糖などは全て中華民国によって専売とされていたので、個人が自由に販売することは禁止されていました。

一方で、大陸では自由に販売することが許されていたので、そういった事情を知っている台湾人にとって不満が出るのは当然です。

1947年2月27日

台湾で闇タバコを売っていた女性(40歳)が中華民国の取締役官に摘発されます。

それは公衆が集まる広場で起こったことですが、取締役官は彼女を拳銃の柄部分で殴り、所持品、所持金全てを没収しました。

女性は生活のために必要なお金なので何とか見逃して欲しいと懇願し土下座までしましたが許されませんでした。

それを見ていた周囲の公衆は「大陸ではタバコは自由に販売しているのだから、殴ってまで没収するなんてやり過ぎではないか」とざわついたのです。

それの事態に動揺した取締役官は周囲に向かって銃を発泡しました。

その流れ弾が1人の男性に命中し彼は死亡。

さらに、拳銃で殴られた女性も翌日には死亡。

この事件が引き金となり、民衆は中華民国(国民党)に対する不満を爆発させ大規模なデモが起こります。

これが、闇タバコ事件。

翌日の2月28日には台北市にて、国民党が政権に反対する者達を武力弾圧し始めます。

これを二・二八事件と呼ぶのです。

国の知的財産を失った台湾

二・二八事件では、台湾内部で反乱が起こったと知らされそれを鵜呑みにした蒋介石は大陸から援軍を送りこのデモを武力鎮圧しました。

その時、多くの台湾人が殺害されていますが、その中には台湾で高等教育を受けたエリート(有識者)が含まれており、有能な人材を失っている。

今でも正確な犠牲者の数は分かっていないが、2万8,000人ほどが大量虐殺されたのではないかと推測されている。

この時失った台湾の知的財産の代償は大きかったに違いありません。

この台湾の事件だけでなく、世界中では今尚どこかで戦争が行われています。

武力によって人が人を苦しめる世の中は決して無くならないのかもしれません。

しかし、その憂いを我々は持ち続けることを忘れてはいけないですね。

争いから生まれるものは憎しみしかありませんから。


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