海外に部品加工(調達)の依頼をしたいが、発注ロット数による制限を受けてしまうのではないかと心配していませんか?
単品加工の依頼は海外に出すメリットが無くなってしまうので、やっぱり量産品しか無理かな・・・
そういったお声は沢山聞いてきましたし、営業をする上では大きな問題の1つです。
確かに、海外からの部品調達において価格メリットを一番に挙げるのであれば、量産品あるいは準量産品がベターです。
しかし、必要とされる部品は量産品以上に単品モノも多いので、そこをどのように打開していくのかが課題となるでしょう。
ここでは、実際に弊社が現在どのような発注ロット数で海外調達の依頼を受けているのかも紹介しながら解決法を提示します。
海外調達をする目的は何か?
まず本題に入る前にあなたに質問したい。
あなたは何故、海外からの金属加工部品の調達を検討しようと思ったのでしょうか?
こう質問すると、私のお客様の90%以上が「コスト削減」と答えてくれる。
しかし、改めて海外調達をするという本来の目的は何から始まったのかを考えて欲しい。
そもそも、海外調達を必要とする理由は日本国内では調達できないようなものであったり、海外にしかない特殊な技術を用いた製品や部品が欲しいという理由が始まりです。
また、原材料が手に入りやすいなどの立地的な優位性が海外のサプライヤーにあるからということも理由の1つです。
ところが、日本と海外の設備投資費用や人件費の差が仕入れコストに反映されることで、本来の目的からいつしか「仕入れコスト削減」にすり替わっていったという考え方もできる。
別の見方をすれば、海外調達すること自体が目的となってしまっていることもある。
何のために海外から調達するべきなのかを改めて考えてください。
コスト削減が目的となった海外調達の成功法
コスト削減が目的となってはいけないというわけではないが、海外のメーカーもピンキリであり優良企業ほど自分たちから売り込みをしてくることは少ない。
何故なら、売り込みをしなくても仕事は十分にあるからです。
むしろ、バイヤーの方から苦労しながらでも見つけ出し、駆け寄ってお願いしないと受けてくれない企業だって多い。
そういう企業は案外安くなかったりするが、品質などは間違いないと思って大丈夫です。
では、本題に戻って海外調達は小ロット発注では難しいのか?という疑問について改めて考えてみよう。
実際には多品種小ロットを得意としている海外メーカーは沢山あります。
それにもかかわらず、大ロット(量産)しか難しいのでは?と言われる理由は、1個あたりの輸送コストが安くなるからであり、単品モノだと結局は輸送コストがひっ迫してしまって利益がほとんど出ないと考えているからです。
だが、あなたも悩む通りそんなに量産案件ばかりを獲得できるわけがないのです。
ならば、それでもってして海外調達を上手く利用できる成功法はあるのか?
言ってしまえば海外の仕入れ先次第で変わってくるのですが、以下は、現在弊社が海外調達でよく受注に至っているケースのものです。
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量産案件は激戦区であると心得よ!
経験上、予めお伝えしておきますが量産案件は激戦区です。
量産しか海外調達はコストパフォーマンスが悪くて難しいでしょ?と思われる反面、実際に見積もりをしても受注に至る確率はかなり低い。
何故なら、量産対応できる優良企業(サプライヤー)は多くのバイヤーによって取り合いだからです。選ばなければ量産対応する会社は山ほどありますが、適当なところにお願いしてしまうと後々に痛い目にあうことは目に見えている。
とにかく量産案件こそ品質管理に非常に神経をすり減らします。
大量に作ったものが、全てNGであるということは稀であったとしても、それに近い状態になってしまった時には後始末をどうするかで寿命が短くなるかもしれないです。
量産案件のコストパフォーマンスの良し悪しは、見積もり価格の裏側にある管理にこそウェイトが大きいと心得ないといけないのです。
ということは、やはり品質が安定している会社を選びたくなりますよね。
だが、そういうしっかりとした会社ほど価格競争力は落ちてしまいます。
やはり、コストが標準並みというわけです。
むしろ、安定した品質を提供しつつも価格競争の波にもまれた日本国内の企業の方がよっぽど良かったりもします。
ロット数が数万個以上の量産案件は、たった1円、10円の違いで発注金額が数万~数十万円変わってくるし、ましてや為替変動による影響も大きく受けやすいというデメリットが海外にはあると覚えておかないといけません。
狙い目は1個単価が高い精密部品加工
海外のサプライヤーで優良企業は、従業員の給与が高いところが多い。
それだけ、優秀な技術者を呼び寄せているということでもあり、設備投資にも抜け目が無い。
品質管理の徹底には目を見張るものがあると、実際に私が視察して感じたことです。
日本の優良メーカーで当たり前の光景が海外でも当たり前になっている企業はまずアタリです。
ただ、我々と同じ機械や工具、検査機器を使用して作り上げたものは、同じだけ時間をかけて作っているわけです。そこに輸送費や通関費用などの余分なコストが乗っかって日本国内に入ってくる。
なので、それでもって安さを求めにいくというのは少々厳しい。
結局、日本と海外の人件費の差だけで価格競争に勝負を挑んでいることになります。
ということは、この人件費の差を大きくすればするほど、出来上がった製品に価格競争力が生まれるという理屈になります。
- 日本国内の企業では面倒な加工工程が多くて敬遠されがちなもの
- そもそも、加工形状が複雑で高コストになりやすいもの
こういった案件を狙っていくと上手くいくことが多いです。
失敗するとすれば、寸法精度の要求レベルが果てしなく厳しいものを誤って受注してしまった場合です。
何回作ってもパスしなくて、泣く泣く製作不可として謝罪せざるを得ないことは1度ありました。
だが、そうでなければ割高でも勝負できる案件はまだまだ発掘できそうです。
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小ロット多品種をかき集めて一括発注する
この方法も結構よくあります。
いくつかの会社から受注した小ロット(単品)案件を納期の調整をしてもらいながら、同梱発送できるようにして一括発注する方法です。
A社、B社、C社それぞれから注文をもらったら、納期が最も短い案件でまとめてしまいます。
ただ、納期対応が難しいとサプライヤーから言われた場合は、納期調整をお客様にお願いしてみます。
受注後に日数が経ってからよりも、受注後すぐにお願いすると案外調整してくれたりしますので注意していますね。
そうすることで、輸送コストの問題がかなり軽減できます。
問題があるとすれば、A,B,C社からバラバラのタイミングで受注した場合です。
そもそも、見積もりをしてから受注できるかどうかわかりませんから、同じ時期に受注できた場合のみ使える方法ですね。
もう1つは、1社から多品種の部品加工依頼を獲得するように営業する方法です。
別々の違う会社からの受注ではないので、一括発注するという点ではメリットは大きいし納品も1社なので管理が楽です。
なので、複数の図面をもらえそうな会社に営業して引き合いをもらってください。
そうすると、海外調達するという選択肢が生きてきます。
まとめ
海外からの金属部品調達は大ロット(量産)、小ロットに関わらず理論上、引き合い案件の内容とサプライヤーの質によってどちらも対応可能です。
ただし、自分がどんな会社に営業をかけるのが得意なのか。
どんな加工依頼をいつも受けているのかを海外調達をしてくれる中間業者さんに相談することから始めてみるのも大切です。
ようするに、1回ポッキリの見積もりで「良い」「悪い」を決めずに、中間業者さんにもこれから一緒に自分の要望に対応してくれそうな海外サプライヤーの確保・開拓をお願いして仕事を形にできるよう歩み寄るようにしておきたいところです。
実際、弊社も海外開拓を続けてきたからこそ受注できている案件も増えていますし、色々とチャンスをくださったお客様がいたからこそ、どういうサプライヤーを探さないといけないのかを考えてこれました。
今後、また新たな課題も見つかるでしょうし、それをクリアできるのにどれだけの時間がかかるかはわかりません。
でも、継続することの大切さはこの10年で大きく感じています。
是非、あなたも1回、2回、10回でもへこたれずに、海外調達の開拓へトライしてみてください。動き続ける限り、きっと縁が巡ってくるはずです。
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