アクリルとポリカーボネートの違いと用途

ものづくり

プラスチック樹脂の中でも比較検討されるアクリル(PMMA)とポリカーボネート(PC)。

いずれも透明性が高いため、ガラスを使用していたところに代替材料として適用されることが多く、見た目では区別しにくい素材です。

ただ、両者では機能性に違いがあるので用途に合わせて選択する必要があります。

 

ここでは、それぞれの機能性の違いと、素材の見分け方について紹介します。



アクリルとポリカーボネートの機能性の違い

見た目だけでは、どちらがアクリルかポリカーボネートかは判断しにくいですが、それぞれにいくつかの特性があります。

透明度

透明度はポリカーボネートよりもアクリルの方が高く、ポリカーボネートが86%に対してアクリルは93%

ちなみに、ガラスの透明度は92%です。

燃焼性・耐熱性

アクリルは燃えやすい(可燃性)素材に対して、ポリカーボネートは難燃性の素材。

ポリカーボネートに火をつけても自己消火性があるのですぐに火は消えてしまいます。

ガラスは不燃性素材です。

 

耐熱温度で比較してみると、アクリルが70~90℃、ポリカーボネートが120~130℃。

ですから、沸騰した熱湯を入れるような容器にはポリカーボネートが適しているということになります。

割れ難さ(耐衝撃性)

ガラスは非常に割れやすい素材であるため、その代用品として用いられるアクリルとポリカーボネートですが、より割れにくい耐衝撃性があるのはポリカーボネートです。

それ故、車のヘッドライトカバーなどにも利用されています。

耐侯性

屋外で使用するに当たり、変形、変色、劣化等の素材変質が起こるかどうかは重要な要素です。プラスチック製品を長時間屋外に放置していると、ボロボロになっているのを見たことがあるかもしれませんが、日光(紫外線等)による影響で劣化していることが原因です。

 

アクリルの場合、ほとんど日光の影響を受けませんが、ポリカーボネートは長期間の日光暴露で変色することがあります。

それだけ、ポリカーボネートは紫外線を効率よく吸収してしまうということです。

 

つまり、紫外線透過性という点で考えれば、ポリカーボネートの方がアクリルよりも高いということですね。

加工性

部品加工の世界では、素材の加工性がすごく重要になります。

まずは、カッターによる切断性は断然アクリルに軍配があがります。

ポリカーボネートはカッター加工はできません。

 

刃物による削りだし加工もアクリルが向いています。

もちろん、キリ穴をあけたり切削することはポリカーボネートでもできます。

 

ただ、ポリカーボネートは非常に傷がつきやすく、仕上げの磨き加工ができないというデメリットがあるのです。

磨きができないという点において、溶着により組み立てて作る箱などのケースの加工もポリカーボネートは向いていません。

 

ポリカーボネートは傷がつきやすいという特性があるため、見た目ではアクリルとさほど差はないように思えますが、外観が重要となるプラスチック製品には使用されません。

 


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アクリルとポリカーボネートの見分け方

外部の業者に加工を依頼し、納品してもらったものは素材の間違いがないかどうか。

あるいは、素材を仕入れたものが間違いないかどうか。

一見するとアクリルとポリカーボネートは見分けがつかないかもしれません。

 

そんな時に、見分ける方法があります。

 

先ほどにも紹介したようにアクリは燃焼性、ポリカは自己消火性という違いがあるので、素材の端部を少し削り取ったものに火を付けてみればよい。

それで、燃えるのがアクリル。

火は付くけれど、すぐに消えるのがポリカーボネート。

なお、確認する場合は風のない室内で行ってください。

 

もう1つは匂いによる判断。

実は、アクリルは特徴的な匂いがあり、サンドペーパーなどで擦ると接着剤のような匂いがします。

サンドペーパーが無い場合は、ウエスで強く擦っても臭いが分かります。


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まとめ

以上のことから、美的外観が求められるところにはアクリルを使用しますが、耐火性や耐衝撃性が必要になるところではポリカーボネートを使用します。

ただ、ポリカーボネートは日光による長期暴露で劣化が起こるというデメリットも覚えておく必要があります。

それらをい踏まえて、素材選択をしてみてくださいね。

 

ちなみに、台湾でもプラスチック樹脂の加工はできますよ。


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