引き抜きダイス用の材料として開発された超硬合金は冷間鍛造、冷間圧造加工に使用する金型に欠かせない素材となっています。
超硬は結合剤(バインダー)であるコバルト(Co)やニッケル(Ni)に炭化タングステン(WC)などを混合してプレス成型した後に高温で真空焼結して作りますが、ダイヤモンドの次に硬い素材とされています。
超硬ダイスは一般的にダイス鋼を切削したところに超硬を焼きバメ、圧入バメすることで作り、超硬は切削の他、ワイヤー放電、型彫り放電、ラップ加工などによって仕上げます。
台湾で超硬ダイスを作るメリット
超硬ダイスは1つ1つが高額になりがちで、寸法精度もシビアなものが多い。
ダイスの寿命を決めると言っても過言ではないラップ加工のレベルが製品レベルを決めることもあり、切削加工を専門としている町工場が易々と参入できる分野ではありません。
やはり、専門の金型メーカーとそれを取り巻く周囲の加工業者によって、ある程度仕事は固まってしまっているのです。
要するに、超硬ダイスの金型産業は業界が狭いとも言えます。
それに加えて、加工期間が概ね1カ月~1.5カ月くらいを必要とするものがほとんどであるため、景気が良い時期にはどこの超硬ダイスの金型メーカーも仕事が追い付かずにヒーヒー言う。
超硬ダイスを発注する側は受注してくれる会社がみつからずに「やるところがない!」と嘆く始末なのです。
そんな時こそ、台湾メーカーを利用するというのも1つの手です。
国内ではまかなえない生産キャパの確保
国内で超硬ダイスを1社で一貫生産できる会社は少ないです。
というかほとんどない。
超硬ダイスの大手メーカーも社内生産だけで100%の仕事をさばいているわけではなく、外注頼りになっている部分が大半です。
この場合、複数社の協力会社が1つの超硬ダイス製作に携わることになるため、生産スケジュールの管理が難しいというデメリットが出てくる。
自社で全てを完結するならば、工程ごとにスケジュールを組んでおけばよいが、協力会社が絡んでくると思うようにはいかないのが普通です。
材料屋、荒加工業者、焼入れ業者、研磨、圧入・焼きバメ、ワイヤー放電、形彫り放電、ラップ加工などそれぞれの工程がどれくらいかかるかは、各業者の受注状況次第でなのです。
もうすでに生産キャパが一杯であれば、超硬ダイスの製造依頼があったとしても結局は断るしかない・・・
それなら、右から左の仕事で少しのマージンしかとれないとしてでも台湾メーカーを検討すれば、受注の取りこぼしが減るかもしれません。
仕事を断るのは簡単ですが、やれるときにやる攻めの姿勢も大事かと思います。
コストダウンができる可能性
ヘッダーダイス、組ダイス、線引ダイスなどの超硬ダイスは鋼の製品に比べると高額になりがちです。
そこで活用したいのが、台湾製の超硬ダイスです。
為替レートの影響を無視できないため、価格変動はありますが種類によっては価格メリットを享受できる場合があります。
もちろん、超硬ニブの生産も可能です。
台湾で超硬ダイスを作るデメリット
台湾で超硬ダイスを作ることはできますが、メリットばかりではなくデメリットももちろんあります。
品質の面ではそこまで心配はありませんが、形状によってはまだ不確かなところもありますのでまずは見積り時の段階で回答するようにしています。
さらに、超硬については各種メーカーが製品を出していますが、超硬メーカー指定をされると台湾での対応は難しい。
基本的には「G5、G6の超硬で」と指定して製作します。
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