部品加工(ものづくり)の世界では、中国、ベトナム、タイ、フィリピンなど東南アジア諸国との貿易が中小企業でも盛んに利用されるようになってきました。
海外で部品を作ってもらい、日本に仕入れる。
もちろん、台湾も同じく産業国の1つですので、部品加工を請け負う工業地帯が多く有ります。そんな台湾企業に部品加工を依頼する中小企業においても、大手企業ほどではないが貿易をする以上は為替レートの影響というものを受けることは間違いありません。
ここでは、日本円と台湾ドルの為替レートの変動による利益がどう変化するのかを紹介するとともに、貿易商社などに海外製部品調達の依頼をする時に「客」としても頭に入れておいた方がよいということを提言しておきます。
日本円と台湾ドルの為替の推移
2000年1月3日の日本円と台湾ドルの為替レートは
「1台湾ドル = 3.2549円」
これが 2017年1月3日だと
「1台湾ドル = 3.6452円」
2000年から2017年までの推移を見てみると
数字はその年の1月の初めの為替レートです。
こうしてみると、1台湾ドルが2.8~3.7円で推移しているのがわかります。
今後はどうなるかはわかりませんが、概ねこれくらいの幅で動くことが予想されますね。
ちなみに、台湾のお金の単位は台湾ドル、ニュー台湾ドル、台湾元などいくつかありますが、全て同じ意味です。

日本円と台湾ドルの為替レートによる貿易利益の影響
為替レートは0.1円以下の単位で日々変動しています。
円安、円高という概念がいまいち分かりにくいという人もいますが、安い高いは円の価値が安くなっているか、高くなっているかということです。
円安 = 1円の価値が下がる
↓
少しの台湾ドルを出すだけで1円がもらえる
逆に考えると、1台湾ドルを出せば多くの「円」がもらえるということ
↓
為替レートの数字が上がる
さて、では円ー台湾ドルの為替レートが0.1変動することでどれくらい影響があるのか。
例えば、10万円の予算でやらないといけない部品加工があったとします。
これを台湾で製造してもらうとき「27,000台湾ドルかかりますよ」と言われたら単純計算で
為替レートが 1台湾ドル=3.5円ならば
27,000 x 3.5 = 94,500円
という計算になります。
でも、1台湾ドル = 3.6円ならば
27,000 x 3.6 = 97,200円
2,700円高くなりますね。
これが100万円単位になってくると、数万円の利益差が出てくるようになります。
たった0.1の為替レートの変動で、貿易収支は大きく変わるということですね。
部品加工の世界では、リピート品というものがあります。
リピート品なので、前回価格というものが残っているわけです。
それも、先月とかではなく「去年やってもらったやつです」なんてことも普通に言われます。
でも、この為替は1年単位で大きく変動するわけです。
例えば、先ほどのグラフで見ると2008年と2009年の為替レートは 3.3693 と 2.8104 で、その差は 0.5589 になります。
もしも、これが 27,000台湾ドルの仕事だとしたら、日本円で 15,090.3円のマイナスになるというわけです。
もちろん、単価や発注量が多ければ多いほど赤字になります。
ですから、海外からの部品調達では基本的に都度見積りをするというのがセオリーになるのです。そうでなければ、為替の変動で利益が出る出ないという問題に大きくぶち当たってしまうからです。
発注する側としても、やはりそこは考えてあげておくことが重要です。
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