ボラの卵巣を塩漬けし乾燥させたものがカラスミ。
カラスミは日本だけでなく、ヨーロッパでも珍味として食べられており起源は古代ローマ帝国とも中国とも言われているが定かではない。
日本だと長崎のカラスミが有名だが、今や台湾の方がカラスミは日本人にとっても有名となっている気がします。特に台湾の土産として購入される日本人旅行客は多い。
そんなカラスミですが、多くの観光客は台北の迪化街という乾物や漢方薬を取り扱うお店が集まる地域で購入される。
しかし、台湾でも特に台南こそがカラスミの聖地と言っても過言ではないかもしれないのです。高雄市や台南市の安平区には台北にはないような上質なカラスミがひっそりと売られていたりする。
ここでは、台南でカラスミを購入できる店を紹介しよう。
台南市安平区にある「丸奇號(まるきごう)」
台南市安平区にある平生路という道を曲がればひっそりと佇むカラスミ専門店「丸奇號」はある。
入り口には「丸奇号」という切り抜き看板がかけられており、丁寧にひらがなで「まるきごう」とふりがなまで付けてくれている。
この店の特徴は何と言ってもカラスミの質だ。
他ではなかなか見ることのできない天然ものを揃えていることに加えて、1つ1つが手作りという製法へのこだわりがカラスミ本来の伝統の味を守っていることの裏付けでもある。
おそらく、台南で手作りでカラスミを作っているお店は10軒もないのではないかと思う。
カラスミの種類
現在、市場に出回っているカラスミは天然もの・養殖ものと冷凍輸入ものに大きく分かれているが、冷凍輸入ものは冷凍されるので、元が天然ものであっても香りの鮮度が落ちてしまうので風味は劣る。
一方、養殖ものはどうしても生臭さが天然ものに比べると抜けきらないものが多く、若干脂っぽいかもしれません。
「丸奇號」さんでは天然もの、養殖ものを販売されています。
天然もので平均2,000~7,000台湾元くらい(1台湾元=3.7円で計算すると7,400~25,900円)なので、かなり高価です。
価格は重さによっても変わります。
養殖もので平均400~1,000台湾元くらい。
随分と差がありますけれど、それだけ天然ものが貴重ということですね。
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手作りカラスミ製法「塩」へのこだわり
近年の台湾では日本と違ってカラスミの食べ方もいささか豪快です。
カラスミは本来、薄くスライスして少しずつかじって風味を楽しむもの。
ところが、天然ものは数万円クラスのものがザラで、そうそう食べる機会がない。
そんな理由から、お手頃価格で購入できる養殖ものというものが多く出回るようになり、食べ方も分厚くスライスしたカラスミを一回に沢山食べる。
何とも贅沢だなぁと思う反面、品がないという声もあるようです。
カラスミ屋では大衆に広く多くカラスミを食べてもらうための養殖ものはどうしても、塩分を控えめにしたものが多い。
とりわけ、最近では酒の肴としてだけでなく、パスタに入れたりサラダに加えたりするアレンジレシピも普及していることも影響しているだろう。
台湾も日本と同じように減塩思考が浸透している背景があるのです。
ところが、カラスミの美味さを決めるのは塩分でもある。
あまり減塩してしまうと、カラスミが不味くなってしまうのです。
微妙な差かもしれませんが、「ホンモノを食べれば減塩したカラスミなんて食えない」という声もあるのは事実です。
そういうこともあり、手作り製法にこだわる丸奇號さんでは過剰な減塩はしないのだそうです。だからこの店のカラスミは美味いと言われる。
風味を倍増させるカラスミ製法
カラスミの美味さは香りであるとも言える。
カラスミはボラの卵巣を木の板の上に並べ、塩を振り、布をかぶせてさらに木を乗せる。それを繰り返して最後に重し石を乗せる。
大量生産されるカラスミは機械でプレスしているところもあるが、やっぱり手作りすると味が変わるらしい。
さらにこの後、カラスミは天日干しされて仕上がるわけだが、実はこの時に使う木にヒノキを使うのが丸奇號さんだ。
ヒノキの香りがほどよくカラスミに移って味わい深い一品が出来上がる。
そして何より大事なのは、原料となるボラが捕獲されてから処理されるまでのスピードだ。
処理が遅くなるとそれだけ生臭いものができてしまう。
また、乾燥時に無機質な扇風機の風を当てて作られたカラスミと、太陽のご機嫌を伺いながら天日干しで大事に作り上げた一品では風味が全く違うという。
天気ばかりは我々人間にはどうすることもできないものなので、10日間くらい日差しと仕上がり具合をにらめっこしながらカラスミを乾燥板の上でひっくり返す職人さんの姿が目に浮かぶ。
天然ものにこだわり、製法にこだわる丸奇號さんのカラスミはそこらで販売されているものとは一線を画する一品であることに間違いはない。
丸奇號でカラスミを購入できる時期
カラスミ専門店を紹介しておきながら申し訳ないが、丸奇號でカラスミを購入できる季節は限られている。
毎年、11月頃から翌年春前くらいまでがシーズンだ。
早ければ1,2月の旧正月前には売り切れゴメンとなることもあるので注意したい。
シーズン以外の頃に訪れても、店のシャッターは閉まっている。
丸奇號の場所
住所:台南市安平区平生路67号
電話番号:06-2281683
営業時間:7:30~13:00(季節によって多少前後します)
支払いは現金のみ(カードは使えません)
台南へ観光旅行するなら、是非訪れてみてください。
良いカラスミに出会えること間違いなしです。
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