海外工場への部品製造発注で心掛けたい3ヶ条とは!?

ものづくり
リンちゃん
海外での部品加工調達を考えたいですか?

 

主に日本のお客様向けに部品加工の依頼を受けていますが、今まで新しい案件を受ると試験段階に多くの時間とコストを費やすことが多かったです。

お客様も台湾の工場も悩んでいて、直接打ち合わせできないため、行き詰まるときもありました。

 

その理由は、たまたまかもしれませんがこれまでに私が受けてきた仕事の多くは、簡単に出来るものよりもちょっと面倒な加工内容のものだったりするからです。

日本でもできるけど、あまりやりたくないなぁという仕事を海外で作ってもらう。

手間がかかる割には単価がそれほど高くないもの。

だからこそ、台湾の加工屋でもどうやったら効率的に短時間で出来るかを試行錯誤するんです。

平野
確かにそれはそうかもしれないね。

「面倒な仕事は台湾で」ってついつい思ってしまっているかも。。。

それでもなかなか上手くいかない場合は双方が非常に無力感に陥ります。

こんな悩みを解決するためには、どうしたらよいのか?

ここでは、海外工場を自社の子会社どうように指示(支持)するための3ヶ条をリンちゃんのエゴも含めて書いてみます。

 



1.加工における経験や情報の共有

注文を出した。

あるいは試作品をお願いした。

でも、なかなか上手く作ってもらえない。。。。

そうすると次第に

  • 最初だから仕方ない
  • 経験がないから仕方がない
  • やはり日本国内で生産した方がいいかな

という諦めモードの考えもお互いに浮上してきます。

 

リンちゃん
「初注文だからしょうがないです」って本当にしょうがないですか?!

 

確かに初めて依頼する協力工場は加工実績がないかもしれませんが、発注者は過去に実績があるかもしれませんよね。

もしかしたら、製造ノウハウ的なものを知っているかもしれませんよね???

リンちゃん
それ、教えてくださ~い!!(涙

でも、知らなかったならゴメンね!

 

もし効率的な製造方法など自分の経験があるのならば、協力工場に伝えてあげることで多くの時間とコストが無駄にならないのではないかと思います。

アドバイス的に。

 

もちろん、長年積み重ねたノウハウを他人に教えるかよ!

この小娘の考えが甘いね!

と思われるかもしれませんけど、「協力工場を教育することで最終的に受益者はあなたなんです」という理念を発注者さんに少しでも理解してもらいたいと思うことが結構あるのです。。。

 

情報共有の問題点

日本の加工会社が自社の稼動キャパ不足を補充するために台湾企業を使う場合、自社の加工ノウハウを台湾企業に教えてあげることで生産効率が最初から高い状態でスタートできるので、価格も納期も満足できるものになるかもしれません。

 

ただし、発注する会社が必ずしも加工ノウハウを持っているとは限りません。

加工設備を持たない商社からの注文だったり、設計メーカーからの注文だったりすると、そもそもが加工ノウハウは任せっきりということになります。

つまり、だれも加工ノウハウなんて知らないわけ。

 

この場合は台湾企業も頑張って効率良く生産できるメソッドを自分で考えないとダメですね。

 

あるいは、現行の加工プロセスを仮に教えてもらったとしても、受注する加工屋によってそろえている設備の種類も違うでしょう。

それに、何よりも加工者(作業者)の技術力、知識レベルは知り得ません。

そういった点からすれば、情報提供が意味をなすかどうかは不明ですね・・・

 

「こうやって作ると効率いいよ」と教えられてもその通りにできないかもしれない。

うぅぅぅ。。。。。

 

情報共有のメリット

紙図面1枚を送って、これを作ってください。

納期は15日。

もちろん、これも貴重なご注文です。

 

でも、不安はないでしょうか?!

 

品質は本当に大丈夫ですか?

納期は間に合いますか?

 

とある部品加工において、ご自身の経験上、加工中に変形しやすため加工プロセスを工夫されたとします。

そんなの、台湾の作業員が知っていると思いますか?

 

効率よく作れなくて単価が日本国内より安くなると思いますか?

(航空便運賃と関税もあるし)

リンちゃんなら夜も眠れないくらい不安です。

((;´・ω・))

 

所詮は愚痴でしかないし、そういうノウハウを教えろ!

教えないオマエが悪い!

というのは間違っているとは思いますし、技術やノウハウは自分達で研鑽していくものであることは確かです。

 

でも、(もしご存知なら)お力を貸していただければ本当に改善できると思います。

不可能なWINーWINを可能な道に導くと思うんですよね。

なかなか判断が難しいところですけどね。

 

 

インターネットがない時代は情報共有がスピーディに行えなかったので、「失敗は成功の母」という言葉の通り、みんなとにかく分からないけどやってみるという時代でした。

でも、様々な情報が手に入りやすくなった現在では、自分達が試さなくても誰かがやった結果を見ること(共有すること)ができるのです。

 

すごく便利ですよね。

 

時間の大幅なロスがなくなるわけです。

とりわけ加工業界は「職人さんの経験・ノウハウが成功の母」だと思います。

 

加工プロセスによって、無駄なコストと試作錯誤の時間が大きく違います。

特に、注意点がたくさんある加工であれば、一言のアドバイスをもらうだけで大きな影響を与えます。

品質、単価、納期もより一層安定できるはずです。

平野
私はできるだけ、知らないかもなぁと思うことがあったら情報提供するようにはしてますけどね。
リンちゃん
平野さん、いつもご丁寧な指導ありがとうございます。(御礼)

 

どんなささやかな事でも構いません。

ご注文をいただくとき、アドバイスと注意点など貴重な経験を教えることによって、結果は大きく変わると思います。

不安を抱くより、情報を与えて自分の協力工場を教育すればいかがでしょうか。


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2.嵌め合い部品を提供すること(可能であれば)

部品加工の中には、「嵌め合い」が重要なものって沢山あります。

これもたくさん痛い経験をしました(>_<)

その1つの例から話してみます。

 

写真はよくある「カラー」の図面です。

1ロット500個、低単価な部品です。

最初、図面だけいただきました。

 

簡単な加工ですよね。

工場も楽勝だと思っていました。

 

ただ、問題は後から発生したのです。

 

図面通りに中心の穴は公差H7で製作しました。

  • はめあいの基準
  • はめあい軸の公差
  • 軸の寸法

これらの情報共有がしっかりとできてなかったようです。

 

お客様は図面通り作ればいいと言ってくれましたので、完成品の内径公差は+0.005~0.008を確保できたのです。

台湾の工場は0.010以内で仕上げることで「精度が高い」と評価してもらいたかったのです。

(( ;∀;))

 

だけど納品したら、NGでした。

 

リンちゃん

あれ?公差に入ってますよ。

何でNGですか?

確認したら、お客様はφ20のピンが入らないんだよ~

使えないよ~

とのこと。

リンちゃん
・・・・・

その時は、とってもショックでした!

 

とりあえず、誰が悪いかを争うより、早く使える品物をお客様に提供したかったので、手元の完成品を3000個全数検査を行いました。

めちゃくちゃ大変です。

でもやってやりました。

 

 

台湾で穴寸法φ20のカラーをφ20のピンゲージと合わせてみました。

手作業で嵌め合うので、メッキ後の内径寸法が20.010になった製品ではなかなか入らなかったことが分かりました。

 

手でスムーズにセットできた製品の内径寸法は「φ20.02」からです。

 

もし、今回の件について軸を手作業で押し込んでいく場合、H7公差の設定に関してもう一度検討する必要があるのではないかと考えられます。

もちろん、合せる軸の寸法もセッティングの仕方も影響されると思いますが、穴の公差設定は問題が後から出る事を危惧しないといけないなぁと感じました。

どうやって使うのかによるってことですね。

 

最後は公差を変更し、手元の製品を修正して納品したんです。

いい勉強ですね!だと思えません。納得できません。

どれも事前に防がれる錯誤だと思います。

何も勉強にならない、ただのコストの無駄、お互い不信感が増加、遠回りしたのを深く感じました。

正直、悔しかったです。

なぜ、お客様に確認してなかったですか?自分を責めてました。

自分のせいで工場もお客様も嫌な思いをさせたと思います。

でも、これもお客様がシチュエーションを変えられます。

 

注文のとき、H7公差の他に、φ20のピンゲージを通してみてね、とかこれは手でセッティングするから、嵌め合い基準などを教えてくれれば、こんな遠回りしないと思います。

特にセット品の場合は入れるかどうかを心配するより、「嵌め合い部品提供」、「使い方の説明」をお伝えることによって、その不安は簡単に解消できると思います。

リンちゃん
手元の嵌め合い部品をぜひぜひご提供ください(涙
平野
ちなみに、H7公差の穴加工において、メッキなどを行う場合は公差上限一杯を狙うのがセオリーというのが、私の周辺の加工屋同士での暗黙の了解ですよ。

 

メッキをすると、内径は小さくなりますので公差上限ギリギリもしくは少しオーバーするくらいで仕上げることでメッキ後に丁度よい寸法に仕上がることが多いです。

 

平野
それに、このカラーの場合は横からセットネジ(イモネジ)を入れるようになっているので、嵌め合いは気持ち的に少し緩めを狙うのがルールでしょうね。

そう考えると、リンちゃんと台湾の加工屋の知識不足も否めませんと私は思う


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3.CADファイルを提供すること

よく言われます。

こんな簡単な加工ってCADファイル必要?!!笑っちゃう!!

リンちゃん
よく分かります

今までは形状が複雑な部品しかCADファイルを提供しません。要りません。という認識だったんですよね。

 

台湾の場合はそうではありません。

CADファイルを提供することで時間の短縮とコスト削減に大きなメリットがあります。

その理由は1つ、簡単な加工でもNCでしちゃうからです。

 

汎用機を使用するとき、長年の経験を活かして加工方法をアレンジするでんすよね?

なので、人によって加工時間が大きく違います。

それはベテランの価値とも言えます。

 

台湾もモノづくりの世界では人手不足の問題が深刻です。

 

工場の成員は50代のベテラン以外、20代~30代前半の若者と外国人労働者という仕組みとなります。

20代の作業員は学校の授業からもうNCを使っているので、汎用機は弱い。

ほとんどパソコンとプログラムに頼っちゃいます。

 

ですから、簡単な加工でも一度プログラムを作成するところが多いです。

要するに、人も半ロボット化しているようなものですかね。

細かな加工条件の設定をするのではなく、このツールを使う、ここを削るという指令をパソコン上で入力すれば条件はある程度勝手に出てくる。

そんな環境です。

 

なのでイレギュラーな加工内容になると、途端に弱いです。

 

でもそうでなければ、手元にあるCADファイルを提供してもらうことで、プログラムを作成する時間が省略できて、納期も縮められるのは間違いありません。

 

また、台湾では昨年から労働基準法で「一例一休」の制度が採用されました。

「一例一休」とは一言で言うと、完全週休二日制を法制化することです。

加工業界では本当にあり得ないことです。

納期はどうする?!

 

生活のため、残業したい労働者も残業できず、製造業とサービス業の会社の雇用主も大きなコスト負担を伴うです。

なので、より効率的に仕事をできる改善方針が必要となり、CADファイルを提供の事は台湾加工業界も進めています。

 

日本でも同じようにデータの提供を要求することが増えてきました。

結局は同じようなことでしょうね。

あるいは、自分でペーパー図面からCADデータを作るのが面倒だとか、データの作り間違いが懸念されることもあるからです。

 

まとめ

最後は自分の考えばかり勝手に記事を書いてみました

(m´・ω・`)m ゴメン…

お客様と工場の間にいる役目をどういうふうに果たせばいいのか、

どうすれば問題の発生率が抑えられるのか、不良を防ぐためにどうしたらいいのか、日々考えています。

 

現場経験がない私はお客様の協力が必要です。

一日も早く理想的なサプライチェーンを実現できるよう頑張ります。

今後ともよろしくお願いいたします。

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