台湾中部の楽しみ方(台中駅周辺での過ごし方)

台湾文化
平野
台中ってどんなイメージを持っていますか?

台湾の観光と言えば台北がメインとなることが多いですが、台中にもマイナーな観光スポットが散見されます。

ただ、台中の観光スポットは郊外に分散しているため、台北や高雄と比べてあまり個人で回って歩ける観光スポットは少ないのです。

 

台中の街中を歩いてみると台中駅をはじめ、台中駅周辺は意外と日本統治時代に建てられた建物が多いことに気づくと思います。

ただし戦後老朽化が進み、10年ちょっと前までの台中駅はさびれた状態でした。

 

日系デパートや高層ビル群などがある小奇麗な新市街は交通の拠点となる台中駅からは離れているせいか、台中駅周辺は一見して雑然としてもの寂しい感じがするかもしれません。

 

しかし、台湾では最近、日本統治時代に建てられた建物など古い建物をリノベーションして文化スポットを作ったりする取り組みが盛んに行われつつあるのです。

平野
台中駅前も例外ではないです。

台中駅前には最近、日本統治時代の建物をリノベーションしたスポットができています。

あるいは、昔は台湾の若者が集うエリアだったところが衰退後、最近になって東南アジアからの外国人が集うエリアが代わりにできつつあります。

 

このように、台中駅前が徐々に活性化してきており、台中駅前も次第に面白いスポットが登場しているのは、観光客として見逃してはいけないのです。

政府もこうした変化に協力的で、台中を新しい街に生まれ変わらせようとしているようだ。

 

そんなわけで、今回、台中駅周辺でのオススメな過ごし方について紹介してみよう。

観光で訪れる時の参考にしてみてください。

 

【半日コース】台中駅前→宮原眼科→台中文化創意産業園区→文房具屋・金玉堂→台中駅前の東南アジア人街
【一日コース】台中駅前→宮原眼科→台中文化創意産業園区→文房具屋・金玉堂→台中駅前の東南アジア人街→鹿港orローカル線・集集線

 



宮原眼科

まずは宮原眼科。

台中駅から表通りを歩いて2つ目の交差点をやや左に曲がったところにある。

 

ここは、日本統治時代の1927年に建てられた眼科の建物をリノベーションしたスポット。

レトロな建物の中では、パイナップルケーキをはじめ、バラエティ豊かなお菓子が販売されている。

平野
現在は眼科として使われているわけではないですよ。

特にアイスクリームは種類が非常に豊富で、建物の外でアイスクリームを食べている台湾の若者の姿でいつも溢れかえっている。

 

2階のレストラン「醉月楼」では、台湾料理をはじめ、落ち着いた雰囲気で食事やアフタヌーンティが楽しめる。

ここでお昼を食べたり、お茶を飲んだりアイスクリームを食べたりして一息つくのはおすすめ。

日本人観光客の姿もちらほら。

TripAdvisor (トリップアドバイザー)のサイト内で「醉月樓」と検索しても情報が出てくるので参考にしてみるとよい。

台中文化創意産業園区

宮原眼科の次は、宮原眼科から台中駅裏を渡って徒歩約5分のところにある台中文化創意産業園区に行ってみよう。

ここは、日本統治時代の1914年に創業された台中酒工場の跡地を利用した文化センターで、隠れたカルチャースポットなのです。

 

古い倉庫をリノベーションし、工場附属の歴史的建築が展示館や工房、若者の起業スペースなどとして利用されている。

敷地の南端にある発酵室は工場の最も古い部分で、酒文化館となっています。

赤レンガとコンクリートの5棟の倉庫が並んだ雅堂館では大型の展示スペース、大倉庫だった清水館では台湾の古代遺跡に関する展示が行われている。

 

また、旧線路に隣接して20号倉庫というアートスペースがあり、近代アートの企画展などが常に開催されています。

2017年9月中旬は、「台中国際動漫博覧会」が開かれていて、1960年代の台湾を描いたような連環画(一連の物語を1ページ大の挿絵と見出し文で表現する掌サイズの絵本で1900年代初頭の中国やベトナムで盛んに見られた形式の絵本)などが多く展示されました。

 

一日中いてもなかなか飽きのこない、台湾の文化に興味のある人は、足を運ぶ価値のあるスポットである。

産業園区内に喫茶店がありwifiもばっちりつながるので、ここで一服して旅の情報を収集してゆったりするのもよい。

 

宮原眼科に比べて人も少なくのんびりできるので、お薦めのスポット。


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金玉堂

さて、台中文化創意産業園区から台中駅に戻る途中の右手に、「金玉堂」と書いた黄色の大きな看板が目に入る。

 

「金玉」という字に日本人は驚くだろうが、これは台湾に全国にチェーン店がある有名な文房具屋さんのようである。

平野
決して下ネタじゃないからね!

中華圏では、「金」はそのまま「金」、「玉」は「玉(ぎょく)」あるいは宝石の意味で貴重なもの、高貴で価値のあるもの、転じて「財産」を意味するらしい。

 

ちなみに、中華圏には「金玉満堂」という言葉があり、これは「お金や宝石が家にいっぱい来る=財を成す」くらいのおめでたい意味である。

そのせいか、台湾では商店はもちろん、民家なども含め街中のいたるところに「金玉満堂」と書いた札がかかっているのを見かけるが、これは中華圏の人からみれば「商売繁盛」的な意味らしく、日本語での意味との違いが何とも面白いと思いませんか?

 

 

この「金玉堂」は、台湾全土にチェーン店を持つ大手の文房具屋さんのようなもの。

台中市内には、ここ以外にもある。

 

可愛い文房具屋掘り出し物の安い文房具もたくさん売ってあるので、ここで日本の友達に台湾の旅行土産を買うのもおすすめ。

 

駅前の東南アジア人街

そして台中駅に戻ってきたら、台中駅の表通りから建國路を進んで歩いて3~4分程度のところにある第一廣場継光商店街一帯に行ってみよう。

 

台湾は今、国際結婚や労働(介護労働者、工事現場や建設現場、製造業の工場で働く労働者など)で、東南アジアから多くの人たちがやってきて暮らすようになっている。

中でも、台中周辺の彰化埔里などには東南アジアの人たちの居住費率が高いこともあって、そこへの交通の要所となる台中駅前には、ベトナム、インドネシア、フィリピン人など東南アジアの人たちでごった返している。

 

彼ら・彼女らが集う食堂や携帯電話ショップ、雑貨屋、美容院などが続々と所狭しと出来上がっていて、ストリート一帯に東南アジア人街ができつつある。

これはこの5~6年くらいの間の変化ではないかと思う。

特に週末はたいへん人が多くなるので注意したい。

 

第一廣場は、昔(90年代くらいまで)は台湾の若者や大学生が集まるスポットだったそうである。

それが、しばらく廃墟同然になり手が付けられていない状態になっていたところ、この建物の中に東南アジアからの労働者を支援する団体の事務所が入ったり、東南アジアの雑貨屋さんや食べ物屋さんが入るようになりました。

それから、続々と東南アジアの雑貨屋や服屋、飲食店などが入るようになり、この第一廣場は東南アジアの人たちが集う一大スポットになったそうです。

 

日本でも、昔は地元の若者で集うエリアや歓楽街だったところが衰退し、しばらくして外国人が集うエリアになったことによって再度活性化したり、生まれ変わったりしている例はあるが(たとえば、東京の上野、新大久保、大阪の西成、札幌の狸小路など)、台湾でもそうした展開と同じような動きが感じられる。

 

そして、第一廣場に隣接するストリートが継光商店街である。

継光商店街でとくに目立つのは、インドネシア料理のお店とベトナム料理のお店。

 

しかし、それらが固まっているエリアはある程度棲み分けができているような感じで、継光商店街の大きな道路を挟んで左手と、右手の奥の通りにはインドネシア料理のお店が多く、右手の表通りにはベトナムのお店が多い印象である。

歩いていると、ベトナム料理の店の隣にしっかり「臭豆腐」の看板も見えたりする。

 

 

美容院の看板の左側に「檳榔(ビンロウ)」の看板が並んでいたりもする。

ビンロウというのは、噛みタバコのことで台湾ではよく見かける。

 

 

「竹筍湯麺(筍スープ麺)」と「Bánh mi(バインミー; ベトナム式サンドイッチ)」が違和感なく並んでいたりと、台湾にしっかりと根を下ろしている様子がまた興味深い。

東南アジアの料理のなかでも、特にベトナムの料理と台湾料理との親和性は高いようですね。

味は比較的あっさりしていて日本人の口にも合うと思います。

 

台北も東南アジアの人たちにかなりの確率で出くわすが、それこそ、台中をはじめとする台湾中部の方が東南アジアの人たちの比率が実感値としては台北より高いのではないかと感じる。

そして、台北に比べて東南アジアの人たちが台湾現地の生活文化にしっかり違和感なく入り込んでいるように見えるのは、閩南(びんなん)文化と東南アジアの文化が台湾中部において融合してきていることを意味しているようで、なかなか興味深い。

 

台中駅前の東南アジア人街は、台湾の外国人街や台湾のなかの東南アジア、異文化に関心がある人には、なかなかエキサイティングで興味深いエリアなのです。


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鹿港 ~台中からちょっと足をのばして~

清朝時代の台湾や古い台湾文化に関心のある人には鹿港。

鉄道好きや原住民、日本統治時代の台湾に関心のある人にはローカル線・集集線がおすすめです。

 

台中駅周辺の穴場的な観光スポットを紹介してきたが、ここで台中からバスで1時間程度で行ける観光スポットでオススメな場所を紹介しよう。

 

台中から1時間前後で行ける観光地としておすすめなのが、鹿港

 

鹿港は台南と並んで、古くから対岸の福建省から人々が移り住んだ古い町。

台湾を代表する古い街。

そして天然の良港をもつ鹿港は、古くは三大港のひとつとして「一府(台南)、二鹿(鹿港)、三艋舺(台北の萬華)」と呼ばれた。

 

鉄道の開通で貿易港としての役割は終えたが、今も古い福建(閩南)式の建物が立ち並ぶ街並みや寺廟もそこかしこに残る。

伝統的な小吃や工芸品なども多く、古い台湾の伝統文化、中国南方の閩南建築や閩南文化に興味のある人にはぜひ訪れてほしい場所である。

 

そんな鹿港の観光スポットとしてオススメなのは、台湾初の媽祖廟として1591年に建立された「天后宮」と、中山路と民族路の交差点を入ってすぐの路地から入ったところにある「九曲巷」

媽祖廟は台湾各地にみられるが、「天后宮」は中国大陸から直接媽祖像を迎えた寺であり、台湾本島ではここのみだそうである。

「九曲巷」はくねくねと曲がる小路で、中国大陸・福建省の廈門や泉州あたりにあるような中国南部福建省の古き良き街並みをみることができる。

聞くところによると、台湾人の間では映画やドラマの撮影にもよく使われるスポットらしい。

 

「九曲巷」にはレトロな雰囲気が漂い、すぐそばには鹿港民俗文物館もあって古い鹿港の写真や地図、服飾、生活用品などが展示されている。

 

 

 

また、鹿港では屋台で「小吃」もお勧め。

「小」は軽い、「吃」は食べるという意味から、日本語に直訳すれば「軽食」「スナック」になるが、中華圏では麺類や餃子、焼売、粽や餅から、肉料理、麺、魯肉飯などまでも含む一品料理のことを指す。

 

台湾で不思議だなというか面白いなと感じる点は、食べ物の味のレベル・質と店の外観が意外と比例しない点である。

もちろん、見るからに明らかに不衛生な食堂や屋台は論外だが、よほどの高級レストランは別として、台湾は中途半端に立派な外観のレストランやデパートなどのフードコートで食べる食事よりは、その辺のごくごく普通の食堂などで食べる食事の方が案外味がよかったりすることがけっこうある。

 

日本はレストランや食堂の外観と味の質がだいたい比例していることが多いが、台湾はそうでないところが面白い点でもある。

ぜひ「小吃」にトライしてみてほしい。

 

なお、鹿港への交通は台中からバスが出ているが、鹿港は乗り合いタクシーが発達しているため、台中方面へ戻る時は乗り合いタクシーがお薦め。

鹿港の拠点となるバスターミナル付近には乗り合いタクシーの業者もあり、そこに4~5人揃えば台中まで随時車を出してくれるので、帰りの交通手段も心配無用。

 

ローカル線・集集線

台中から台鉄で二水駅まで行き、そこからローカル線の集集線に乗ってみよう。

集集駅は日本統治時代の1921年に開業した駅。

集集線はバナナ畑の中を走る電車ともいわれているため、のどかな台湾の田園風景を味わいたい人にはおすすめ。

 

 

 

さらに集集駅の駅前には、レンタサイクルや土産物屋がいっぱいある。

 

 

水里駅には各バス会社のバスターミナルもあり、台中行のバスも頻発しているため行きか帰りはバスで台中まで戻るのもよいでしょう。

なお、水里は結構山に近いのですれ違う地元の人たちの顔立ちも原住民が多くなり、それもまたなかなか面白い。

 

のどかな台湾の田園風景を味わいたい人は、ぜひ集集線に乗ってみよう。

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