金属部品加工をメインにあれこれと仕事をしておりますと、常々「納期」の話ばかり耳にします。
特に最近は短納期が当たり前となっているような気がするほど、納期にゆとりがありません。
注文をする時に必ず「急いでる」というセリフを付け加えてくる担当者。
もう口癖のように
急ぎでお願いします。
特急です。
もう在庫がないんです。
いつできる?
来週にはもらえる?
お客様が待ってるから。
何かもう、普通の納期ってないの?と思うくらいに急ぐ急ぐってうるさくなってます。
何でこんなに日本人は納期病になってしまったのでしょうか?
洗脳されてる営業マン
私の知り合いには方々に営業活動で周り、特定のお客様から仕事の引き合いをゲットした営業マンが多数います。
彼らの中には、「お客様から気に入られている」という洗脳を受けているのでは?と思えるほど、特定のお客様のためなら必死になる人がいる。
例えば、今回のテーマでもある「納期」。
通常なら2~3週間くらいの納期かなと思う仕事を、何と3、4日の納期で受けてくるのです。
無理っすよ。
そんな言葉を遮るかのように
他の業者には一切話をせずに、ウチに出したいって言ってくれているんですよ~
何とか、期待に応えたいじゃないですか~
お願いしますよ~
助けてください~
と言うのです。
まぁ、流行りの忖度(そんたく)ってやつでしょうか?(笑)
第三者的に見れば、仕事欲しそうにしてる営業マンを持ち上げといて「納期」をとにかく短く対応させようとしている発注者の魂胆が透けて見えるような気がするのです。
勘違いかもしれませんが、結局は営業マンはお客様の奴隷と化している(洗脳されている)のではないか?
納期って一度短くなれば、それが当たり前になってきて感覚麻痺を起こします。
特急案件が特急でなくなるんです。
昔は1カ月かかって作っていたものは、今だと2週間で作らないといけない。
そんな時代です(涙)。
なので、本気で短納期対応を全力でしている会社は毎日が細かい時間との勝負です。
今日の〇〇時までに材料を発注して、明日の〇〇時までに加工を完了させて・・・
納期が人を殺す
納期に間に合わないから今日は徹夜して頑張る。
そんな言葉を町工場で聞くことが結構多い。
特に、小さい工場の社長さんなんかは土日・祝日関係なしに働く人がいる。
夜も工場に泊まり込んで機械を動かすのです。
見ていて、しまいに本気で死ぬんじゃないかな?と思うほどです。
彼らは雇われの身ではないので、労働基準法から無縁。
働けるだけ働くのだそうです。
本人も「疲れた~」「しんどいわぁ」という言葉を吐くのだが、どこかしら満足気なのが滑稽にも思えます。
また、納期確認をやたらとしてくる担当者も多い。
納期まであと2週間くらあるにもかかわらず、「納期大丈夫ですか?」と毎日電話してくる。
このイライラのせいで病気になりそうです。
最も質が悪いのは、休みなく働く自分たちを美化する人たち。
自分たちの働く時間を他人にも共有させようとするのです。
日曜日に家にいてもすることがないから、工場に来て仕事する。
それは、勝手にすればいいのですが「ちょっと〇〇の加工は△△で間違いないかな?」みたいな確認電話を休みの日にかけてきたりね。
休日、家族を連れて行楽に出かけていた先で、こんな電話がかかってきたらテンション下がります・・・
他にも、24時間稼働の工場で夜勤をしている人から夜の10時、11時に仕事の電話がかかってきた時には発狂しそうになりますね。
ゴールデンウイークなどの大型連休に家族で旅行に行こうとすると
えっ!?休むん!?何で?
と言われたことがある。
もう、みんな働き過ぎです。
周りのそんなスタイルに私生活が乱されている毎日を過ごしていると、頭おかしくなりそうですよね。
きっと早死にする。。。
最近では、企業での働き方というものが注目されています。
過労死がニュースになることもしばしば。
それもこれも、納期による束縛が原因です。
台湾でも法律による労働時間の規制はかなり厳しいです。
欧米諸国では割と労働時間にゆとりがあって、アフターファイブに自由な時間があるという話はよく聞きますが、日本や台湾、中国などは納期競争・価格競争が激化し過ぎているためか、台湾企業でも、実態は残業ガッツリの会社はいっぱいあります。
特に海外からの仕事の引き合いを受けている台湾企業では、納期厳守をスローガンに掲げているところがほとんどですし、作る製品の品質も海外向けとして高く保たないといけないのでかなり苦しいはずです。
納期を守るため、台湾では日本以上にブラック企業が多いかもしれません。
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納期に追われない仕事の獲得を目指すには
部品加工の世界における納期の束縛が強烈になったのは、何と言っても大手企業が掲げる無在庫主義によるところが大きい。
在庫を置かない=欲しい時には即座に作らなければならない
元をたどれば、大手が在庫リスクを減らして収益を上げることを目的に始めたわけですが、その結果、実際に加工を行う町工場はヒーヒー言わないといけません。
町工場がヒーヒー言ってでも仕事をするのは、やらないと仕事が無くなるから。
そういう心配をしている会社が多いからです。
世の中の「短納期の波」に乗らないと、溺れて沈んでしまうと思い込んでる会社が多いからですし、実際にそうかもしれません。
でも、納期にゆとりのある仕事で続いている会社だってあるはずなんです。
競合ライバルの多いところで1つの仕事を奪い合うよりも、自分が持ってる強みに引き寄せられてきたお客様と取引する方が断然やりやすいし、納期管理もしやすい。
お互いに相思相愛になりやすいですしね。
例えば、個人客相手の部品加工の場合。
納期はこちらである程度自由に設定できる。
個人客を扱う会社は決して多いわけではないので、お客(個人)も会社を選べないのです。
インターネット検索などでいくつかの会社に打診して、ようやく対応してくれる会社が見つかった場合、納期1カ月と言われようが作ってもらえるなら「OK」の返事をくれることが普通にある。
そうすると気持ちにゆとりを持って仕事ができます。
あるいは、特殊なものを作っている会社なら、「欲しければ待ってくれ」と言える。
台湾の企業も、日本国内の仕事の取り合いに参加しない方向性を見つけないといけないと私は思っています。
どこもやりたがらない加工。
要望が多いなど、打ち合わせなどが面倒な案件。
もちろん日本の町工場も同じです。
とにかく、お客に見つけてもらうことが大切。
そのためには、ホームページなどの独自のウェブメディアサイトを作ることは重要な仕事となるでしょう。
ホームページ作成なんて難しそうでできない。
外注に頼むとめちゃくちゃ高額になりそう。
そんな心配をされる零細町工場は多いが、案外簡単で安く自分で作れたりするのです。
簡単ホームページ作成【PAGEKit】なんかはその例の1つですね。
他にも無料ホームページ作成サイトなどはあるが、初心者はここでよいのではと思う。
台湾企業も日本からの仕事を受注したいなら、日本のウェブサイトを作るべきではないかと思うのだが、なかなか簡単にはいかないかもしれませんね。でも、それができていれば「納期」というプレッシャーに押さえ込まれない新たな仕事が見つかる可能性はあるでしょう。
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