MCナイロンとPOM(ジュラコン)の使い分けの基準とは

ものづくり

こんにちは!

部品加工の中でも樹脂加工は台湾が得意とする分野の1つですが、時々、MCナイロンとPOM(ジュラコン)ってどうやって使い分けしたらいいの?という疑問の声を聞くことがあります。

 

正直、私も専門分野とは言えないのですが、簡単な判断基準について紹介したいと思います。

 

ちなみに、MCナイロンとは一般名称をPA6(6ナイロン)とし、車輪やギアなど多様性に富んだ使い方をされますね。

一方、POM(ジュラコン)はポリアセタールのことで、 カムやガイドなどに使用されます。

いずれも、見た目的には良く似た樹脂なので、どうやって使い分けしているのかわからなくなりますが、その機械特性は少し違うんです。



MCナイロンとジュラコンの製造方法の違い

MCナイロンとジュラコンは見た目は色の違いがあるのかなぁというくらいで、大差ないですよね。

でも、その製造方法は大きく異なります。

 

MCナイロンは注型成形材料であり、注型ナイロンとも呼ばれます。

イメージとしてはプラスチックの鋳物みたいなものですね。

金型に溶かした素材を注入して固めてつくる材料です。

 

部品加工としては、ブロック素材を切削加工して仕上げるのが一般的です。

なので量産するには不向き。

少ロット向けですね。

強みとしては、型さえ作れば大型品もできることです。

 

 

POM(ジュラコン)は射出成形材料。

私達が普段よく見かけるプラスチック製品に適応される製造方法で、射出成形金型に溶かした素材を押し込み充填させて固める製法。

秒単位で高精密部品がバカバカ量産されます。

 

デメリットとして、射出成形は金型が高価なので生産数が数万、数十万個以上でないと投資金が回収できないことです。

また、あまり大きな製品を作るのは適していません。

 

MCナイロンとジュラコンの機械的性質による区別

製造方法の違いということもありますが、そこから機械的性能の違いも生まれます。

まず、耐摩耗性や機械的強度はどちらが上か?

 

答えは、MCナイロンの方が耐摩耗性や機械的強度は優れていると言えます。

 

 

MCナイロンは注型重合で作るので、射出成形材料より分子量を高くできる特性があります。従って、耐摩耗性などの機械的性質はジュラコンよりもずっと高くなるのです。

 

一方で、ナイロン樹脂で無視できないのが吸水性

ナイロンって水を吸うの!?と思いがちですが吸います。

 

この特性でも、MCナイロンとジュラコンでは大きな差があり、使い分けが必要になってきます。

MCナイロンには吸水性があり、吸水することによってその機械的性能が低下します。

よく温度によって寸法が変化するという認識を持っていることが多いでしょうが、むしろ吸水によって膨らむことも懸念材料の1つです。

 

加工が終わってすぐの実測寸法と、そこから一晩寝かせたあとの寸法が変化しているのは、吸水性によるところが大きい。

また、加工応力によって反りが出やすいので、MCナイロンは細長いものを精度良く作るのが難しい材料なのです。

 

 

一方、POM(ジュラコン)はMCナイロンと違って吸水性が低いです。

そのため、寸法安定性が良いという特徴があります。

機械的強度は期待できない代わりに、はめあい公差が必要な場合には有効な材料だと言えます。

 

 

つまり、寸法精度を重視するならPOM(ジュラコン)。

機械的強度を重視するならMCナイロンを選べばよいのです。

価格による差

最期に、おまけとしてMCナイロンとPOM(ジュラコン)はどちらが高い材料なの?というコスト的な要素も選択肢の1つとなるでしょう。

 

こればかりは材料を仕入れるところによってバラバラなのですが、比較的にPOMの方が割高なようです。

どっちにしようかなぁと迷ったら、性能による違いとお財布事情で決めるとよいかもしれません。

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