MCナイロン(MC901)は6ナイロンとも呼ばれ、㈱日本ポリペンコの製品名でもあります。
※一般名ではない
このMCナイロンについては、”主原料ナイロンモノマーを大気圧下で重合・成型することで6ナイロンの特性を向上させ、射出成形品や押出成形品にはない優れた特長をもっています。”という説明がメーカーにはあり、様々なところで利用されています。
機械加工をする時には、金属と比べて柔らかいためサクサク削れるのだろうけれど、加工経験のない者からすれば、素朴な疑問が沸き起こることもありますよね。
ここでは、MCナイロンの機械加工における素朴な疑問について紹介しよう。
MCナイロンの切削加工で切削油はかけるべきか、かけないべきか?
部品の機械加工を行う時に切削油をかける、かけないを使い分けると思います。
最近の機械加工の流行は高速回転による高速加工であり、高速で加工するが故に発生する加工熱が大きいため、クーラント能力の高い水溶性切削水を使うことが多い。
ここで注意したいのは、MCナイロンには吸水性があるということ。
つまり、水分を含む切削水をぶっかけると、多少なりと膨張などの懸念が残るわけです。
そもそも、MCナイロンには自己潤滑性があり、被削性も良いので、切削油は普通使いません。
でも、切りカスの除去の目的や加工熱を抑える目的で使うなら水溶性切削水ではなく油性切削油が良い。というのも、MCナイロンは耐油性に優れているからです。
もし、エアーブローができる機械を使用できるなら、切りカス除去のためにエアーブローはしておくべきでしょう。
MCナイロンに精度の必要のないバカ穴はドリル(キリ)で加工してもよいのか?
MCナイロンは加工条件を鉄と同じようにすると、加工熱によって溶けたり、食い込み過ぎて割れたりします。
つまり、高速でサクッと切り込まないとダメということです。
実際、穴をあけるならば、鉄を加工する時に使うキリを併用することに何の問題もありません。
ただ、刃を研ぐ角度とか、送りや回転数は樹脂に合わせなければいけないのです。
あえていうなら、アルミ加工の条件と同じ感覚でやれば、上手くいきやすいですね。
MCナイロンのリーマー加工が上手くいかない!?
MCナイロンにリーマを通しても寸法が出ない。
マイナス公差になってしまう。
どうしたものか・・・・
という悩みを持つ人は結構多いみたいです。
旋盤加工ですと、穴ぐりすることにより寸法を出した方が手っ取り早かったりします。
それでもリーマーで加工したいならば、ハンドリーマを手で通すと寸法が出やすいのですが、やっぱりバイトで仕上げたほうが早いでしょうね。
フライス加工ならエンドミルを使うとか。
MCナイロンの切削条件がメーカーの表にないんだけど・・・
機械加工をする時、使用する工具のメーカーが提供してくれている切削条件表というものを参考にすることがあるかと思います。
だけど、どこのメーカーを見てもMCナイロンのような樹脂系の切削条件などが見当たらない!ってことないですか?
初心者にとっては非常に困るわけです。
加工条件ってどうすんの?ってね。
そんな時には先ほどにも書きましたが、アルミの条件で回転数、送りを決めて加工すればひとまずはOKでしょう。
仕様する工具は金属加工用のもので何ら問題はありません。
導電性MCナイロンはワイヤー放電加工ができるのか?
ときどきこんな質問をされることがある。
って普通に考えたら、「おいおい!」という質問ですけどね(笑)
まず、MCナイロンのカタログなどを見て「道電性」という文字を見つけ、伝記を通すなら放電加工もできるやん!と安直に考えるんですよね。
だけど、普通に考えてみてください。
金属に利用する放電加工とは、アーク放電によって金属を溶かす加工のことです。
なので、仮にMCナイロンで放電が起きても、放電加工時の発熱温度はMCナイロンの耐熱温度を遥かに超えます。
だって、金属を溶かす温度ですからね!
なので放電したはしから加工形状ぐちゃぐちゃになりますね。
まぁ、そもそもが樹脂と金属の伝道性を同じように考える時点で間違っています。
ということで、いくつかMCナイロンの機械加工における素朴な疑問を挙げてみました。
初心者さんや素人さんにとっては、「あぁそうか」と思えたのではないでしょうか。
こうやって、1つ1つ覚えていくことで加工技術も上達するんでしょうね。
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