皆さん、こんにちは!
台湾在住のリンちゃんです。
7月も半ばに差し掛かり、あと1ヶ月くらいでお盆休みに入りますが、休み前、皆さんはお忙しいでしょうか。
この台湾izmブログを運営している(有)平野製作所とHCF(弊社)は主に金属部品加工のご依頼を受けて台湾で製造することをメインサービスとしています。
金属部品加工以外としては、台湾現地材料の調達、機械設備関係の製造や販売、台湾と日本の情報共有などのサービス提供まで幅広く対応することを心掛けていますが、中でも台湾が得意だなぁと私の経験上感じるものがあるのです。
それは、樹脂の加工です。
樹脂って非常に種類が豊富です。
PP | UPE | ベークライト | シリコーン |
PE | POM | アクリル | フッ素ゴム(FKM) |
MC | PVC | MCナイロン | ゴム製ガスケット |
PTFE | C-PVC | PPS | アスベスト |
ABS | PVDF | ボールベアリング | PI |
PC | VITON | パーリン | ノンアスベストガスケット |
PU | PETP | RULON | PTFEガスケット |
FRP | PAI | VESPEL | セラミックス |
PEEK | PBI | PEI | ボールベアリング |
他にもありますけど、見てるだけでめまいがしそう・・・
っていやいや。
これらは、弊社の協力会社が常にストックしている在庫材料です。
用途によって色々な樹脂が使われるわけですが、本当に過去に頂いた樹脂の切削加工の引き合い案件(見積もり)はほぼ100%受注できているんですよね。
私も1年ほど続けてきましたが、樹脂の切削加工を考えているなら台湾を検討することをおススメします。
ここでは、その理由を紹介しましょう。
台湾の部品加工における悩みの種は材料代と運賃?
加工品依頼の流れは、お客様から見積もり依頼をいただき、単価と納期が合えば台湾現地で製作してから、日本へ納品するようになっています。
品質と納期が大事なんだけど、最初に見積もりが通らなければ話が進みません。
以前、「ものづくり」のグローバル化で見出すべき「国の優位性」とはという記事を書きました。
台湾は鉱物資源のない国なので、鉄以外の金属加工の材料をほとんど輸入でまかなっています。
ですので、台湾工場に見積もりをお願いしても、材料調達の時点からすでに仕入価格で日本よりも高い時があります。
つまり、台湾は安いと思もうのは早とちりということです。
案外、みんな台湾は安いと思っているからね。
金属部品加工の材料として日本で汎用している合金鋼、高速工具鋼、非鉄金属(銅、アルミ)など、材料費は日本より台湾の方がやや高いのが現状です。
(中には少し安い材料もありますよ)
実際、今まで台湾の加工費用が日本より安くても、材料代と運賃を入れたらアウトの時も少なくありませんでした。
日本よりも高い材料代と余分にかかる運賃が必要であるため、とにかく安く加工しないと日本に届ける単価が高くなってしまうのです。
打開策としては、一回の運送で沢山の量を詰め込んで1個あたりの輸送費を安くするしかありません。
あるいは、日本だと超高額になりそうな加工を安く対応するかです。
見積り回答をする時には、いつも材料代とか送料のことを考えて悩むのです。
現在、多い時には1週間100枚以上の見積もり図面が届いてます。
ただ、その中には今まで1回もハズレのない種類があることに気づいたのです。
MCナイロン系の製品。
樹脂の切削加工です。
MCナイロンとプラスチック系の見積もりは100%成約してきました。
何でだろうと考えてみましたが、そこには材料代と運賃の悩みを少し解消してくれる秘密があったのです。
樹脂(プラスチック系)の切削加工依頼が100%成約できてきた理由
金属材料の多くは輸入品であると書きましたが、一方で台湾の工業用プラスチック系の材料はほぼ台湾国内で生産可能です。
一般汎用の材料から、ジュラコン、アスベスト、ガスケット、セラミックスなど、全部台湾国内で自給できるのです。
つまり、樹脂材料を国内で調達できることによって、コスト管理をしやすいということが考えられますね。
材料の世界は実に深くて、原料となる鉱物(レアメタルなど)の原産国は限られています。
石油と同じで、原産国がやはり強い。
輸入に頼らざるを得ない国は、仕入れ価格相場の変動に敏感になりつつも、末端販売価格を安易に上げ下げするのは材料市場の混乱を招くため慎重です。
つまり、ある程度の価格相場というのが国々によって決まっているんですよね。
ちなみに、日本はレアメタル資源がないので特殊な金属は欧州諸国の数十倍の金額が相場になってたりするようです。
樹脂の切削加工は1社で完結する
金属加工と違って、MCナイロンの加工は外注に出したりはしません。
台湾の町工場は加工工程ごとに細かく複数社で分業するのが一般的です。
1つの金属加工品があれば材料屋さん→依頼工場→研磨屋さん→熱処理屋さん→ワイヤ加工・放電加工→表面処理屋さんという流れですね。
全ての機械加工設備とオペレーターを揃えている会社はあまりないのです。
あるとしてもかなり大規模な工場なので、自社商品のみを作っているのが現状ですね。
ところが、樹脂、プラスチック専門加工工場は金属加工工場と違います。
金属加工工場と比べると全体的に工場の数が少ないので外注先もないですし、最初から最後まで自社で加工しちゃうことが一般的です。
品物を外注に出さないメリットとして
①コストが抑えられる
②納期管理しやすい
③品質が把握できる
ということが言えますね。
熱処理や表面処理がない
金属加工でよくある熱処理とメッキは日本より台湾では相対的に時間がかかります。
日本の無電解ニッケルメッキは半日でできてしまうところもありますが、台湾では3日間くらいはかかります。
環境問題でメッキ屋さんに対するルールを厳しくなっているため、会社を閉めるところも多いです。
メッキ屋さんが少なくなったということは、仕事が集中してしまうため納期が長くなります。
ですので、熱処理やメッキがある品物は短納期対応ができない時も結構あります。
挙句の果てに、熱処理技術はまだ日本の足元にも及ばないという現実が私たちを苦しめるので、できる限り熱処理のない加工依頼を受けるようにしたいというのが本音なんです。
だって、切削加工精度は本当に素晴らしい技術を持った会社が台湾にもたくさんあるんですが、その魅力が熱処理などによって打ち消されることもあるから。
そんな本音を満たしてくれる加工の1つがMCナイロンなんです。
MCナイロンの場合は加工のみで完成し、表面処理がありません。
したがって、短納期も対応できるところが多いです。
ちなみに、φ302Xφ260X70サイズの加工なら最短で7日程度で完成させてくれます。
金属加工品よりも運賃が安い樹脂加工品
樹脂製品は金属製品と比べると軽いですよね。
ということは、運送費用が安く済むということなんです。
航空便にしても、船便にしても台湾から日本に部品を送る時には大きさと重量で送料が決まります。
なので、同じ部品でも樹脂製品の方が安く済むのです。
樹脂の加工精度は日本の加工屋さんと甲乙つけられないレベルです。
あとは、価格と納期をいかに納得してもらうかだけです。
日本で樹脂加工してくれるところ知らないんですというのなら、一度台湾を候補に入れてみてください。
お力になれるかもしれません。
お問合せはこちらから。
見積り等、添付ファイルがある場合は管理人のアドレス info@hirano-s.jp までお送りください。
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