台湾料理を含む東南アジア諸国ではパクチー(正式にはコリアンダー)が様々な料理に使用されています。
いわゆるエスニック料理と呼ばれるものですね。
原産国はヨーロッパだが、古来より伝達して広まったものと考えられます。
中国では乾燥させたものを「胡荽」という生薬として利用されることもあるが、その他、世界各国では呼び名が異なります。
ただ、日本ではパクチーと呼ぶのが一般的になっています。
日本ではパクチーを料理に使う習慣がないため、嫌う人は多い。
ただ、最近では都市部の若い女性の間でパクチー大好き派のことを「パクチニスト」と呼ぶこともあり、パクチー愛好者は増えているようです。
「パクチー女子のあなたに!」なんてキャッチコピーの飲料があるくらいですからね。
この商品を見て「あり得ない」と嘆くほどパクチーの臭いが嫌!という断固拒否派は、タイ料理などパクチーが欠かせない国への渡航では、食に悩まされるかもしれません。
何故、これほどパクチーの好き嫌いが分かれるのでしょうか?
台湾料理にも結構多く使われているので、今回のテーマとしてみます。
パクチーが嫌われる理由は香り
見るだけなら、美味しそうと食欲をそそるものでも、一口食べれば鼻に抜けるパクチーの独特の香りにノックアウトされる人がいる。
パクチーが苦手、嫌いと言う人に共通しているのは、パクチーの味ではなく香りが苦手ということ。
洗剤のニオイがする。
カメムシのようなニオイがする。
なんて例える意見もあるくらいです。
実際、パクチーに含まれる香り成分はいくつかあります。
アルデヒド類、アルコール類、テルペン類などが混合されたものと解釈するとよい。
単独の成分が独特の香りを放出しているわけではなく、複数の香りが混ざりあったものに好き嫌いの感性を生ませています。
実際、パクチーに含まれる香り成分の中には、柑橘系と同等の香り成分もあるので信じられないと思う人もいるでしょう。
例えば、アロマテラピーで使われる精油もその香り成分はいくつか混ざり合ったものを指します。
バニラ、カモミール、オレンジ、ジャスミン、ラベンダーなどなど。
代名詞的な名前はありますが、その化学成分は複数の分子が混ざったものであり、パクチーの香りも複数の香り成分が混ざったものと同じことなのです。
香りの好き嫌いがある理由
ニオイというのは、人によって感じかたは異なります。
男女でも異なり、例えば好きな人のニオイは心地良く感じるはず。
側にいるだけでドキドキしたり、離れていてもぼんやりと香りを思い出したりすることもある。
これはフェロモンが関係していることも1つあるが、フェロモンも結局は香りと同じだと考えられます。
好意を寄せている人の汗のニオイは不快に感じないけれど、嫌いな人の汗は臭くてたまらない!となるのです。
実はこれには遺伝子が関係しているのではないか?という実験も実際にスイスの大学で行われています。
この実験は複数の男性に来てもらったTシャツを女性に嗅がせて、好き嫌いを判定してもらうという単純なもの。
結果、女性が「好き」と答えた男性のニオイはお互いに遺伝子レベルで遠い関係にあったそうです。
これは後付理論になるのだが、より多様性のある子孫を残すために遺伝子レベルで自分から離れている人を好む習性が本能としてあるのではないかと考えられます。
もし、あなたに好きな人がいるならば、きっとその人の体臭に引き寄せられているのかもしれません。
さて、脱線しましたが香りの好き嫌いは何も体臭だけでなく、パクチーを含め香水や芳香剤も挙げることができます。
香り付きの洗濯用洗剤が流行するようになってから、その洗剤で洗濯した洋服を着た人と一緒にいると香りがきつくて頭痛がするとか、お隣さんで干している洗濯物から漂う香りで体調不良を起こすなんていうトラブルもあるくらいです。
ニオイに関する研究は多く、五感の中でも嗅覚は他の触覚、味覚、視覚、聴覚と違って、香りの刺激が直接脳に届きます。
もともとは、犬などのように嗅覚が哺乳類においては重要で、食べてよいか?腐っていないか?などを判別するのにニオイを嗅ぐという習性があったのですが、大脳が発達した人間は嗅覚に頼らずとも判別できるようになったことから、嗅覚が退化したとされます。
ただ、ニオイの好き嫌いに関しては完全に好みであり、生まれた頃から嗅いでいた自宅のニオイなど慣れ親しんだ香りは不快に感じることは少ない。
また、異性を好きと思うことがその人のニオイが好きに繋がることもあり、遺伝的なものと環境要因とが合わさって好き嫌いを判別しているのです。
パクチーのニオイが好きか嫌いか、これについても、普段からパクチーを食べる習慣が少ない日本人だからこそのテーマになるのかもしれません。
グローバル化した社会にあり、日本でも本場のエスニック料理を食べることができる店も増えましたし、パクチーに触れる機会が多くなって「パクチニスト」が生まれたのではないでしょうか?
慣れれば好きになる。
病み付きになるってものなんでしょう。
コメント