金属部品製造の中でも、大量生産しないといけないものや複雑な形状で機械加工が難しいものは鍛造(鍛造)や鋳造(鋳造)という製法を用いられます。
時折、この鍛造と鋳造の違いを知らぬままに混同される方も多いですが、両者は全くことなります。
鍛造(たんぞう)は金属を金型にはさんで圧をかけて変形させる方法。
熱した鉄を押し延ばすイメージですね。
熱する温度によって、冷間鍛造、温間鍛造、熱間鍛造がありますが基本的な仕組みは同じ。
刀や包丁などを熱して叩いて鍛える「鍛冶屋」のイメージが強いのが一般的ですが、工業用製品のほとんどは、金型で押し延ばして成型します。
鍛造のメリットは金属繊維の鍛流線(ファイバーフロー)が保持されるので、強度が高くなるということです。
ただ、鍛造は鋳造(ちゅうぞう)に比べるとコストが高くなる傾向にあります。
工具のペンチなんかも鍛造ですし、ボルトやナットも鍛造で作られていることが多いですね。
鋳造(ちゅうぞう)は砂型や金型の中に溶かした金属を流し込み、冷やして固める方法です。
日本でも伝統工芸品として南部鉄器などが鋳造品として有名。
鋳造には工法の違いによって、いくつかのダイカスト、ロストワックスなどいくつかの種類がありますが、鋳造の利点は何と言っても複雑な形状でも安価で大量生産できるということです。
鋳造のユーザー産業はほとんどが輸送機産業、一般機械産業、電気機械産業で占められているのですが、その生産を担う日本国内の会社数は随分と減少しました。
入れ替わるように、海外生産へとシフトすることが急速に伸びている現状。
これから、金属部品の製造生産は日本国内におけるフルセット構造から分業構造に切り替えを適切に行う必要が求められます。
鋳造を海外生産に分散させるときに考えないといけないのは生産拠点国ですが、ここでは台湾を候補として挙げる理由について書いてみる。
是非、台湾での鋳造を考えてみてください。
鋳造を必要とする主要ユーザー
鋳造を最も必要としているユーザーはどんな業界だと思いますか?
実は産業全体の6割を占めるお得意様は輸送機産業です。
日本のお家芸とも言われる自動車産業がまさしく相当します。
残りは一般機械と電気機械が占有する市場が鋳造産業なんです。
自動車部品においてはエンジン部で鋳造(ダイカスト)、ブレーキ関連、ポンプ関係からサスペンションなど、自動車生産の屋台骨が鋳造だと言っても過言ではないかもしれません。
とりわけ、自動車部品は月産数万個、数十万個レベル以上の生産数を要求されることは稀ではなく、生産ラインをいかに止めることなく市場における需要を満たすことができるかが課題となっている。
それらにかかる部品1つ1つ機械加工するのは「骨が折れる仕事」という表現では生易しささえ感じるはずです。
いかに自動で大量に安定生産させるかを考えないといけないのだ。
一方で、一般機械部品の鋳造は自動車産業とは求められるものに違いがあります。
ついつい同じ感覚で鋳造屋さんに問い合わせをしてしまいがちですけれども、性質は全く異なります。
工業用機械などの部品はそれぞれが多品種小ロットであるため、機械化・自動化することが難しく、1つ1つ人手がかかる作業になり求められる職人技術の差が製品にモロに出てしまいます。
特に鋳造の鋳枠(鋳型)に砂を詰める作業を人間の手で行う「手込め作業」にも、職人の腕の差が出てきます。
同じ鋳造メーカーのくくりに入っていても、主要ユーザーが自動車産業なのかそうでないのかによってメーカーの規模も体系も大きく異なります。
そして、複雑な形状になるほど上型と下型を被せる工程は欠陥が起こりやすい。
単純なようで非常に高い職人スキルが求められるのです。
鋳造の海外生産比率の変化
1980年(昭和55年)当時は、海外における鋳造の生産比率は数%でしかありませんでした。
ところが、2003年には海外生産比率が輸送機産業界では3割を超え、その他業界でも1~2割を占めるまでに上昇しています。
必要とされる部品の多様性に加えて価格競争の激化が起こっていることが海外生産へのシフトを助長していると思われます。
部品の生産数は堅調に伸びているのだが、これをカバーしきれないために海外へというわけではなさそうなのは、日本国内の鋳造メーカーの一部では製造ラインを遊ばせている(停止している)ところがあるので、一概に生産力の問題だけではなさそうですね。
また、鋳造のニーズを担うのは大手鋳造メーカーではなく、ほとんどが中小零細会社です。
そのため、資金繰りだとか人手不足の問題が常に付きまとう現実に直面しているのが、日本国内の会社の現状なんです。
実際に鋳造の海外生産比率はここ30年ほどで一気に上昇したのですが、今後も増える可能性は高いでしょう。
海外の中でも特に大きな市場となっているのは中国。
鋳造でもやっぱり中国はパワーを見せつけてきますね。
昔は海外製でも特に中国製は「安かろう、悪かろう」という代名詞が充てられるほどの低品質が当たり前だったが、今は随分と改善されています。
今後、お客様が求める鋳造の生産力、価格、品質を確保するためには、今からでも海外生産拠点との繋がりを持っておくことが大事だと言えます。
何故なら、日本国内の鋳造会社数が減少傾向にあり、お客が求めるニーズに応えることができるメーカーが絞られてくるからです。
メーカーが絞られるということは、日本国内のメーカーの奪い合いをしないといけないということです。
大手企業がおさえてしまっている場合は、タッチすることができません。
そうなると、他社の協力によって対抗するしかないのですが難しいのです。
だからこそ、海外が求められるというわけですね。
どんなに素晴らしい製品を作れる鋳造技術をもった日本メーカーも、結局は客が求めるニーズの頂点にあるのは「価格」なんです。
それが改善されない限りは、国内メーカーの成興は望み薄でしょうね。
これまで、金属加工業界は価格の面で叩き上げられ続けてきましたから、できればここらで一発、大手メーカーに謀反を起こしたい気分でもあるのはここだけの話。
鋳造を台湾でやることを候補に挙げて欲しい理由
鋳造の海外生産の中心は中国にあり!
そう考える人は多いですが、実は台湾にも進出している機械メーカーなどもあります。
私は中国と台湾の両方で部品加工などの協力会社を持つが、これまでの経験で両者の違いは感じることがある。
中国はとにかく広いので、どの地域で協力会社を探すかによって出来上がる製品の質にバラつきが大きい。
使えたらええやん。
使えなかったら、また作るから。
こんな考えは当たり前。
だから、品質もなんじゃこりゃ!ってものをいくつも見て落胆してきました。
その都度、改善要望を出したり会社を変えたりしながら、今は品質も価格も申し分ない協力会社が増えつつある状況です。
ここで、言いたいのは中国で新たに協力会社を探すとなった場合はすごく大変ということです。
当たりはずれはあるかもしれませんが、中国の優良企業は軒並みライバル他社が入っていると思った方がよい。
掘り出し企業を見つけることは至難です。
台湾でも一部の会社では雑なところもあるようですが、何よりも違うのは、弊社には台湾現地にパートナーがいるということ。
鑫嘉豐實業有限公司(HCF株式会社)のリンちゃんです。
このブログの共同ライターもしてくれています。
台湾での新規取引先となる協力会社は彼女が実際に足を運んで探してくれています。
実際に会社に赴いて話を聞いてきてくれ、報告してくれます。
なので、電話の問い合わせだけとは違い安心感が強いのだ。
私も台湾を訪れた時には、彼女と同行してメーカー視察をします。
もちろん鋳造(ダイカスト)メーカーもあります。
品質管理のレベルは高く、見積もり案件があって相談すると、とにかく細かいところまで聞いてきます。
それだけ丁寧にきちんとやっているということですね。
他にも中小企業メーカーがありますが、Canonや監視カメラなどのフレーム、エアーバルブ、バイクのエンジンカバーなどを鋳造している会社もありますよ。
アルミの押し出し成型もやっておられます。
机が汚れているのはご愛敬ということで・・・(笑)
これから先のことを考えて、中小企業をいくつかおさえておくべきですが、台湾には鋳造メーカーとしておススメできる会社もいくつか見つけてくれています。
価格も日本と比較すると安い印象が強いですね。
中国に比べると、鍛造メーカーを探すという点では台湾が穴場かもしれませんよ。
今、グローバル社会になって会社間の取引関係が複雑になってきました。
かつては、上流から下流へと流れていた仕事も、網目のような構造に変化しています。
メーカーから大手商社が仕事を受け、大手商社から中規模商社、小規模商社、加工会社、その下請け、そのまた下請け・・・といったような流れが一般的だったものは崩壊しています。
中抜きなんてのも当たり前です。
そうなると、かつて自社の協力会社だったところに、いつの間にか客先が直接入っていた!
最近、仕事が来なくなったと思ったらそういうことか!!
となるわけ。
一応、暗黙のルールとして取引先の外注には手を出さないことになっているのですが、いつでも裏切りはあるもので、会社どうしのケンカ別れも噂で聞くこともあります。
これは、海外でも同じようなことが起こり得る恐れがあるわけです。
そうならないためにも、今のうちにから積極的に海外の中小企業と結びつきを持っておきたいと思いませんか?
台湾なら、弊社のパートナーであるリンちゃんが一生懸命に探してくれます。
もしかすると、最高の協力会社が見つかるかもしれませんよ!
是非、鋳造の相談は弊社まで。
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