「ものづくり」のグローバル化で見出すべき「国の優位性」とは

ものづくり

こんにちは!

鑫嘉豐實業有限公司(HCF株式会社)のリンです。

 

 

私は、このブログの管理人であり日本の大阪にある有限会社平野製作所の平野さんと提携し、台湾で日本のお客様向けに部品加工を提供しています。

様々なお客様のご要望が応えられますよう、日々台湾で協力工場を探したり、品質管理等のマネジメントをしています。

 

 

突然ですが最近、仕事して、感じた事がありました。

 

人は努力してできる事と、どうしてもできないのがあるんですね。

今さら・・・なんて思わないでね(笑)

 

というのも、今までは頑張れば、きっとうまく行く!!という信念だったのですが…

ちょっと

 

 

でも、考えてみたら「物事はすべてができるわけではないです!やっぱりポイントは適材適所ってことなんだ!」ということ。

それでイイんです!!!

 

 

常々、平野さんが言ってる事が一瞬に理解できた気分です。

今更(笑)

 

 

さて、何故こんな事を言い出したのか。

その理由は、現在の私の活動の中にあります。

今、私は台湾で機械部品などを作ってもらうために色々な工場を訪れ加工をお願いしたり、見積もり相談をしたりするわけです。

その中で、台湾企業は何を強みとしてこれから日本と協力関係を深めることができるのかということが大きな課題として私の中にあるからです。

 

全ての要望をスムーズに処理できるわけではない現状をもっともっと円滑に進めるためにも自分の中で整理したかったんです。

 

 

台湾の加工会社が置かれている環境を知れば知るほど、どんな加工をすれば競争力に優位性を持つ事ができるのかが分かってくるでしょう。

工場もそれぞれ違う強みやノウハウを持っていて、その1つ1つの特性をよく見極め、日本のお客様の要望に一番マッチできる会社に仕事を依頼するのは私の使命です。

 

 



国の地理的環境と「ものづくり」の優位性

地理環境により、世界各国が恵まれている資源が異なります。

これは日本や台湾だけでなく、他の国でも当たり前のこと。

 

先日の2017年3月17日に、サウジアラビアの国王が46年ぶりに日本を訪れたニュースがありました。

サウジアラビアといえば世界2位の石油埋蔵国の石油王国です。

 

 

でも、資源の利用をめぐって時代が変わりつつありますね。

原油価格も低下しており、サウジアラビアは石油生産に依存しているため3年連続の赤字財政になっているそうです。

今、サウジアラビアは原油から脱却した財政再建を目指しているということで、資源が乏しいにも関わらず経済大国に登りつめた日本のノウハウを学びたいという目的が今回の訪日にはあるのでしょう。

 

 

国の資源はいつか底付きますが、立地条件は地殻変動でも起きない限りこらかも同じ条件です。

そこをどのように生かすかは、私達は自分で考え開拓していかないといけません。

 

 

地理的環境として、身近な例を挙げると気候もありますね。

温暖・寒冷・スコール・乾燥などなど。

それぞれに適した産業が発達します。

 

 

例えば、日本の気候は桜の成長に適しているので、家近所の公園にも手軽に花見が出来たりしますね。

台湾の場合は山に行かないと桜がありませんよ。

山に行っても日本のような薄いピンクのお花ではなく、濃い色の「山桜」です。

 

 

地理的な問題があるので、日本のように桜を育てたくてもできないですね。

まさかビニールハウスで育てるわけにもいきません。

 

 

「ものづくり」においても、台湾は日本にはない制約的なものが実はあるかもしれません。

普段気付いていない何かが。

これは、お互いの国の事情を知っておかないと見えない部分かもしれません。

 

 

 

地理的環境を生かした「ものづくり」の例

世界の「ものづくり」を見渡すと、自国の地理的環境を上手く利用している国もあります。

その1つがスイス

 

例えば、スイスという国は自分の優位性を生かしてどんな経済方針を実行しているでしょうか。

 

 

①スイスは周囲をアルプスの山に囲まれた海がない国です。そのため、船便で輸出しないといけないような重工業は向いてません。

それを見極めて、小さな精密機械や時計などを製造しています。

 

②スイスは周りを山で囲まれているため、自然が豊かです。

その長所を活用して、観光経済を積極的に推進しています。

また、近年はクリーンエネルギーの利用率も高い事で有名ですね。

 

③スイスは自国が小さい国であることを十分認識しているので、ヨーロッパの各国にはいつも政治的中立の姿勢です。

 

④スイスには4つの民族がいます。

公用語はドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語です。

また、公用語より国際語となる英語を重視しており、小学生から英語教育が義務付けられます。

多言語国の優勢を生かして、たくさんの学校を作ることで世界から多数の留学生をスイスに受け入れ、国の経済にも貢献する仕組みを構築しています。

 

 

これらスイスの事例から「適切」ということの重要性がよく分かりましたね。

物事の長所と短所をよく分析できれば、より良い仕事ができるはずです。

何をすれば良いのか?

そこを見つけたいです。

 

 

「ものづくり」の世界における台湾の優位性は何か?

 

果たして、台湾の企業が持つ優位性とは何か。

そこをどのようにしてアピールするべきか。

ものづくりの世界がグローバル化していく中で、賃金の安さだけを見れば東南アジアは格別です。

 

でも、お金だけじゃない部分もありますから、そこに台湾の優位性を見出さないといけません。

 

 

まず、私が実感する台湾企業の強みを列挙してみましょう。

  • 専門分野を持つ工場が多く、中国と比べると単価競争ができない現状ですが、台湾工場は単価より品質が強みとなり、1つの分野であれば様々な要望に応えられる。(単価で仕事を決めたら、その後は大変な時があるので、品質優先をしています。)
  • 特定の専門性が高い仕事だと、台湾は日本に近いため短納期の対応も可能です。
  • 日本との仕事・関係性が長いため、図面の読み方や材料、公差規範などの理解がスムーズ
  • 良い機械設備がそろっている。粗悪な3流メーカーの機械を使っている工場は少ないですね。もちろん技術性の方が重要だと思うが…良い工具は効率向上にも有利です。
  • ISO認証取得の工場が多いです。管理もしっかり。
  • 日本に近いため、船便で送っても1週間くらい着きます。DHLだと翌日着ですね。
  • 依頼工場にフィットする仕事でしたら、ナイスプライスが出る時もたくさんです。

 

ところで、反対に弱みはどうでしょうか。

  • 材料調達の時点からすでに価格で日本に負けてる時があります。

台湾は鉱物資源のない国なので、鉄以外の加工の材料はほとんど輸入品です。

日本で汎用している合金工具鋼材、高速工具鋼、非鉄金属(銅、アルミ)など、材料代は日本より高いです。

 

台湾は日本と比べて人件費がまだまだ安いので、加工見積もりの金額は日本よりも安くなるはず。

でも、ものによっては材料代を加えたらアウトです。(悔しい!)これも国の条件ですね。

 

 

ちなみに、そのデメリットのきっかけで、平野さんと日本の材料を台湾へ販売するビジネスもしていまーす。

仕入れが台湾の商社より安いので、台湾工場にアピールしています。

 

 

 

台湾の部品加工でよくある問題

台湾に限ったことではないのですが、材料に関する問題点は色々と過去に経験しています。

経験しているからといって、必ずしもその問題を回避できるというわけではありませんが、トラブルが起こった時にはその理由は何故か?という判断材料にはなります。

 

  • 材料の安定性

同じ鋼材会社から仕入れた同じ材料でもロットにより若干の違いが出ることがあります。

ミルシート(成分検査表)を見ても分からないです…

 

平野さんに聞いたら、「合金の分子配分は同じでも、分子の部分的分布率は違うみたい」だって!

材料品質は日本製が良いと聞きますけれども、製造管理が行き届いているからでしょうか?

それにしても、材料品質が安定していないと部品の品質管理さえも難点となりますね。

 

 

  • 日本指定の材料が台湾現地にない時の「材質変更相談」

材料取得問題です。

S55CをS50Cに変更とか、SCM435をSCM440に変更、A5056TEをA60601に変更できるのか、台湾に調達できない材料は「材質変更相談」をします。

それは必ず事前にお客様に連絡し、承認を受けてから製作に入ります。

本当によくあります。

 

 

  • 熱処理と表面処理技術は日本と比べたら弱い!

台湾でも熱処理や表面処理はできます。

ただ日本のレベルと比べると超精密部品においては、表面処理の前加工までを受注するケースもあります。

その場合、表面処理は日本でします。

でもクロムメッキ、ニッケルメッキのような基本的な表面処理はキチンとできてますよ。

時間は日本よりかかりますけどね。(;´・ω・)

 

平野さんにメッキ処理をお願いすると、メッキを出したその日のうちにあがってきたり、翌日にあがってくるというハイスピード対応を聞きます。

ビックリです。。。

台湾では有り得ない!!

 

台湾の金属加工の技術は想像以上!でも・・・弱点は熱処理技術なんだよねぇ
「日本のものづくり技術はすごいね!」 台湾に行くとそう言われることが多いし、本当の日本の現状を知らない台湾人は本気で思っているのでしょう。 確かにね。 日本の金属加工技術はすごいですよ。 本当にすごい会社はね...

 

 

 

部品加工における台湾という国の優位性のまとめ

まず第一に仕事が「できる」、「できない」をしっかりと分別できるようにならないと後始末に悪影響が出てきます。

台湾の企業の中には何でも「できる!」「やる!」「やってみる!」という前向きな声を聞かせてくれるところもありますが、結果は別問題。

 

やっぱりできない!

難しかった!

なんてこともあります。

 

なので、しっかりとマネージャーである私が適材適所を把握しないといけません。

それが私の強みでもあると思っています。

 

台湾人の堂々と豪快に自慢する性格は気持ちがよすぎて親近感がわくよ
日本人で「謙遜」を美徳とするような民族文化があるよね。 でも、台湾に行って初めて会った人に色々質問すると、豪快に自慢話をしてくれるんだ。 それが何故か鼻につかないという不思議な民族。 むしろ清々しくて気持ちええ。 ...

 

 

 

加工依頼先を誤ると自分も工場も大変!

苦手な仕事う受け、有意義な仕事をしたなぁと思うことと、その仕事の大変さはまた別のことですよ。

台湾の工場は専門性を高めることを進めている傾向があるため、無理して不得意分野の仕事をすれば、割りとコストが高くなってしまいます。

 

なのに「やってみる!」と言うもんだから困っちゃうのです。。。

聞いた私が悪いのだ。

 

結局そういう場合は効果(製品の品質や加工スピード)も良くないと考えられるでしょう。

つまりは時間の無駄、お互い体力とペイシェンスの摩耗です。 

 

 

こうしてみると、台湾の強み、優位性って何だろうって益々悩んでしまいます。

もう、台湾の強み、優位性っていうよりリンちゃんに頼る強みってものを見つけるしかないかな。

ま、そういうことで。

 

 

今の目標は一気にたくさんの仕事をもらうことではなく、受注した仕事を適切な工場に依頼し、品質も単価もお客様に満足してもらうこと。

台湾の工場もリンちゃんも日々頑張ってますので、台湾へ部品加工に興味がある方はぜひお問い合わせください。

 

ご連絡を待ってますね。よ(^o^)ろ(^o^)し(^ ^)くぅ(^-^)ノ゙

 

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