日本だけでなく、台湾にも多くの町工場があります。
形態はさほど大差なく、数百人規模の部品加工会社から数人で経営している超零細企業まである。
それぞれで作ることができる部品というのは当然異なり、得意不得意があるので使い分けが重要です。
図面を一見すると「あの会社」で作れそうだなと思っても、意外と難しい内容だったりする。
とりわけ台湾企業の中には不得意で経験のほとんどない加工内容の相談でも「できる!できる!」と受けてしまう会社があるので、後々大変な苦労が待っているかもしれないので注意だ。
その苦労、加工する台湾企業だけでなく、注文を出した側にも納期遅れ、精度不良などの問題がしわ寄せくる・・・・
そうならないためにも、とにかく色々な部品製作を色々な企業で試しながら「あの会社は○○の加工が得意」、「この会社は○○の加工が得意」というような特色を掴む経験が必要になる。
それは日本で外注を使う場合でも同じ事が言えるだろう。
私は台湾企業に部品加工を頻繁にしてもらっているが、どの企業がどの部品加工を得意としているかについて情報を集めることは今後もずっと続けていかなければならないことだと思っている。
そういう情報収集と台湾現地の部品加工会社の開拓については、現地で弊社に協力してくれているパートナー(マネージャー)がいるので任せている。
今回はその開拓の一環で見つけた加工会社の中で、得意とする加工部品例を紹介してみよう。
横型多段式鍛造機械のトランスファー部に使う『フィンガーアーム』
世の中にあるボルトやナットを含めた様々な金属部品が大量に横型多段式鍛造機械(フォーマー)によって生産されています。
フォーマーでは金属製のバー材やコイル材を一定の寸法で切断してダイとパンチによって連続的に鍛造を繰り返し製品を成型します。
簡単に言えば、金属棒の塊を金型で押しつぶして特定の形にする加工法。
それを連続的に自動で高速に行う機械が横型多段式鍛造機械(フォーマー)です。
たまに、市販されているようなボルトやナットを旋盤の機械などで人が1つ1つ削って作っていると思われることがありますけれど、到底その方法では生産量もコストも充足できません。
特殊な規格から外れたネジやナットなどは切削で作ることはあっても、数万個、数十万個レベルのネジを切削で作ることはほとんどありません。
このフォーマーは自動車産業で非常に活躍している機械でもあり、町工場が部品加工依頼を受ける中にもフォーマー関連の部品は多いです。
とりわけ、フォーマーで消耗品に相当する部品(パンチ、ダイ、フィンガー、フィンガーアーム、送りロールなど)は頻繁に安定的に町工場で加工されている。
ただ、注文は取り合いですけどね(笑)
もちろん、台湾で作る部品の中にもフォーマー関連のものがあります。
今回紹介するのは、フィンガーアーム。
横型多段式鍛造機械(フォーマー)を製造するメーカーは日本でもいくつかあるが、実は台湾にもあるのです。
細かい違いは多少あるけれども、基本的な構造は同じ。
台湾メーカーのフォーマーを導入している日本企業もあります。
なので、台湾でもフォーマー関連の部品が頻繁に製造されているのです。
もちろん、日本メーカーのフォーマー部品も台湾で作ることはあります。
フォーマーのトランスファー(搬送)部
横型多段式鍛造機械という名前にあるように、1つの部品を鍛造で作り上げる時には多段階にわけて行います。
その構造、仕組みについては日本のメーカーである坂村産業株式会社のホームページを見ると分かりやすい。
数工程の鍛造を順番に連続的に行う時、1工程目から2工程目、3工程目と材料(パーツ)を送る必要があります。
この部分をトランスファー(搬送)部と呼び、フィンガーとかチャック爪、ツメと言われる部品で鍛造したパーツを掴んで次の工程へと運ぶ仕組みになっている。
これらが、フィンガーの一例です。(弊社製作)
左右一対で使用し、Vの字になっている部分で鍛造したパーツを掴み次の工程へと送ります。
その大きさも様々で、小指サイズのものから手のひらからはみ出るくらいのものまであります。
主によく使用される材質はS50C(S45C)などの炭素鋼。
場合によっては、チャッキング部に高周波焼入れをして硬度を上げる場合もあります。
フィンガーの形は色々他にもありますが、このフィンガーを保持・固定するのがフィンガーアームと呼ばれるパーツです。
これは台湾製でブロック材からの削りだしによって作っています。
フィンガーアームは種類によっては、鋳造によって作ることもありますが在庫を持たなくなった企業が多いため、弊社では10~100個の間で毎回必要な分のみ切削加工注文を受けることがメインとなっています。
これらがそのフィンガーアーム例(台湾製)。
機械メーカーによってアーム形状は変化します。
もちろん大きさも。
フィンガーアームの作り方は企業によっても様々であり、決まった方法があるわけではない。
弊社社内で加工する場合は、治具を利用しますが他社ではワイヤー加工を利用するところもあるようです。
材質はほとんどがフィンガーと同じくS50C(S45C)。
時に調質材という焼入れして少し硬くした材料を使う場合もあります。
問題となるのはコスト面。
どうしても、加工工程が多くなる部品ではありますが、消耗品の部類に入るので発注回数も多いでしょうから、やはりコストは少しでも抑えたいでしょう。
ただ、1,000円、2,000円で対応するのは難しいですけど、精度・品質の良い加工企業が台湾にもあるので、検討されてはいかがかな?と思います。
納期も受注タイミングによりますが、日本国内に発注する場合とさほど変わりません。
もしご要望があれば、見積もり致します。
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