暑い台湾に行き街中を走っていると、時々露出の多いセクシーな女性が小さなガラス張りの中で何かを売っている姿を見かけることがある。
ただでさえ、派手好きな台湾人の街並みでひと際ネオンがチカチカ光る薄暗い灯りのガラス張りの中に女性が立っているとあっては、初めて日本から訪れて何もしらない者からすれば怪しい雰囲気さえ感じるのが正常であろうと思います。
でも、これが台湾の日常風景でもあり、実際にそこで売っているものこそビンロウ(檳榔)であったりします。
これがビンロウ(檳榔)
(引用:wikipedia)
売り子をしている女性たちのことは檳榔西施(びんろうせいし)と呼ぶ。
西施とは中国古代の春秋時代に実在したとされる女性の名前であり、絶世の美女と言われているので、その名前にあやかって売り子に付けられた通称が檳榔西施である。
何故、売り子が露出の多い服装でいるのかというと、決して暑いからではない。
ビンロウ(檳榔)を購入する人のほとんどは男性であり、男性客の心を掴むマーケティング戦略の1つとしてセクシーな女性をエサにお客を集めたということが始まりだそうです。
日本でも、テレビの企画で有名アイドルが素手でむすんだ「おむすび」を1個1500円くらいで販売したら売れるのか?というものがあった記憶がある。
販売するおむすび自体は何の変哲もない、普通のおむすびです。
コンビニで買えば200円もしないだろう。
それが、1500円。
誰が買うねん!と思いきや。
以外とそのアイドルのファンは買う。
目的は「おむすび」ではなく、アイドルに会う、アイドルと話す、アイドルがむすんでくれた!という付加価値を求めていることになる。
ビンロウ(檳榔)も結局は同じような販売戦略ですが、「アイドルのおむすび」みたいに決して高価なものではなく6個で50元くらいです。
大衆向けの安いものですね。
まぁ、販売形態が昔のまま残っているということでしょうか。
ビンロウ(檳榔)自体は別に台湾限定ではなく、東南アジアで広く嗜好されているようですが、セクシーな女性が販売しているのは台湾だけです。
ただ、最近は観光客も多くなった台湾ですから、外国人からの奇異的な視線を無くす風紀規制もあり、徐々に過激な服装の女性は少なくなっているようです。
台湾の台北に降り立ち、車や電車で台南の方へ南下していくうちに、だんだんと生い茂る食物の様子が変わっていきます。
台中を過ぎる頃になると
「あ、ヤシの木がいっぱいだねぇ」
「さすが、台湾南部は常夏の国みたい♪」
と言いたくなるのだが。
実は、それはヤシの木ではない。
それこそがビンロウの木なのです。
よーく見ると、木の上の方がちょっとヤシの木を違うことに気づく人もいるだろう。
私も昨年に仕事で台湾を訪れた時、現地工場の社長からめちゃビンロウ(檳榔)を勧められた。
その時はビンロウ(檳榔)というものの存在すら何かも知らなかったし、同伴していた者が「やめとけ」というものだから口にはしなかったが、今なら言えます。
「もし旅行に行っても手を出さない方がいい」とね。
ビンロウ(檳榔)は台湾ガム?噛みタバコ?
私が台湾に行った時にビンロウ(檳榔)を勧めてきた社長さんは、いつも口をくちゃくちゃさせていた。
ビンロウ(檳榔)を噛んでいたのだ。
ペッと最後に吐き出したものは、茶色い繊維質の塊です。
おいおい、道端に吐き捨てるのかよ・・・
台北でも台南でも市街地に行くとそこまで目につかないのですが、郊外に車を走らせると道端に茶色い繊維質の塊がチラホラ落ちているのを見かけるようになる。
社長が道端に吐き捨てたビンロウ(檳榔)の噛みカスだ。
歩く人に踏まれて汚くなり、ペチャンコになっているのを見ると、そのうち土に還るのかなぁと思うけれど、衛生上はお世辞にもキレイとは言えない。
エチケットマナーもくそもない。
ビンロウ(檳榔)は種をキンマ(コショウ科の植物)の歯に少量の石灰を塗ったもので包んで売られてることが多い。
ビンロウ(檳榔)のことを「台湾ガム」だと現地社長が言っていた気がするが、これはチューイングガムのように、飲みこむことなく種子が繊維質の塊になるまで噛むことからそう呼んでいるだけだろう。
実際には、ガムではなくむしろ「噛みタバコ」に近い。
ビンロウ(檳榔)の種子にはアレコリンというタバコに含まれるニコチンに似た作用を示す成分が入っている。
なので、初めてビンロウ(檳榔)を噛むとなんかフワァっとしたような、頭がクラっとするような感覚になるという意見が多い。
慣れてくると、そういった反応はしなくなるようです。
まさしく、タバコと同じですか。
(私はタバコも吸ったことがないので、その感覚を正確にお伝えできないです・・・)
ビンロウ(檳榔)を噛んだ時に出る唾液のグロさ
ビンロウ(檳榔)に含まれるアレコリンという成分は、石灰と反応すると鮮やかな赤に変色します。
噛んだ時に出る液体は吐き捨てるようにするのですが(飲みこむと体調を崩すかも)、あまりにも色が赤いので見た目がグロい。。。
赤色というのは人間の目に最も飛び込んできやすい色でもあるし、脳に「危険」という信号を無意識に送ってしまうので、道端で見かけると不快ですね。
何も知らなければ、誰かここで怪我でもしたんじゃないか!?と心配しちゃうよ。
ちなみに、現在ではビンロウ(檳榔)を噛んだあとの唾液を道端に吐き捨てると罰金が課されますので注意が必要。
これも、国際化の影響でしょうか。
なので、最近ではエチケット用に紙コップ、ティッシュペーパーを購入時に渡されることもあるようです。
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ビンロウ(檳榔)で歯が真っ黒!?これが金運を呼ぶ??
私が台湾に行ったときに接待をしてくれた、現地工場の社長はいつもビンロウ(檳榔)を噛んでいた。
その彼の歯が、異様に黒かったんです。
正確には黒というより赤茶色かな。
彼は自分の歯の色を見せては「これがもっと黒くなるまでビンロウ(檳榔)を噛まないといけないんだ」と言ってました。
彼の歯を見ると、日本の浮世絵などに見る昔の女性の風習を思い出した。
そう。
お歯黒(鉄漿)です。
あれは既婚者か独身者かを見分けるためにしているとか、お歯黒をすることで美しく見せるためと覚えているけれども、美的感覚の異なる現代の我々が見ると奇妙な違和感を感じるだろう。
それと同じ感覚が台湾でまさかするとは思いもしなかった。
その社長曰く、歯をより黒く染めることで幸運が舞い込むらしい。
彼は、そう信じている様子でした。
私はそれが迷信であろうが、なかろうがやめた方がいいのに・・・と思うばかりです。
なぜなら、ビンロウ(檳榔)は歯が黒くなるだけでなく、歯を弱くし、歯茎も委縮させてしまうので歯槽膿漏にもなりやすい。
とりわけ口腔粘膜の萎縮・線維化は口腔がんにつながるからです。
実は発がん性があるビンロウ(檳榔)
ビンロウ(檳榔)に含まれるアレコリンは効果がタバコのニコチンに似ているというだけでなく、依存性も同じくあります。
なので、数回ビンロウ(檳榔)を噛むようになると、どうしてもまた噛みたくなるようです。
さらに、ビンロウ(檳榔)には発がん性(主に咽頭がん)があることを国際がん研究機関(IARC)が認めているとあります。
国際がん研究機関では発がん性のある化学物質や食材、放射線などのリスクレベルを公表する国際的な研究機関です。
ただし、タバコと同じようにビンロウ(檳榔)を噛んだからといっても、必ず発がんするとは限りません。
あくまでもリスクがあるというレベルです。
台湾ではとりわけ、農村部などの田舎に行くほどビンロウ(檳榔)を噛む人が増えるようですが、口腔がんの患者の多くはビンロウ(檳榔)を噛む習慣があるそうです。
なので、現在の台湾では禁煙を推奨すると同時に、ビンロウ(檳榔)も噛むのを止めようという広告運動まで存在する。
それだけ根強く定着したビンロウ(檳榔)。
いつの日か、台湾から消える日がくるかもしれません。
たとえ台湾に旅行に行き、おいしい果物のように見えたとしようが、決して好奇心だけでビンロウ(檳榔)に手を出さないようにしようね。
時々、台湾の工場ではお馬鹿な男達がこんなことしてます。
その名も「ビンロウかき氷」
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