金属部品の切削加工である程度まとまった量の仕事の依頼があった時、外注に出したいなぁと思って海外(中国や台湾)に出せばコストが安くて済むのでは?
そう考えることもあるでしょう。
だけど、量産というものは何を基準に量産とするかの解釈の仕方によって、また加工内容によっても海外で切削加工をするメリット・デメリットが分かれます。
あなたが手持ちの図面には加工数はいくらになっていますか?
月産? 年間生産? 単発生産?
材料は支給?
さぁ、これだけでも海外を使うかどうかが分かれますよ~。
鋳造品の量産(切削加工を含む)をする時の注意点
鍛造品(たんぞうひん)と鋳造品(ちゅうぞうひん)の混同が起こってはいけないので、簡単に説明しておくが、鍛造品は金属にハンマーなどで一定の力を加え、叩いて目的の形状にする金属加工のことです。
量産する場合は金型を作り、それを用いて目的の形の製品を連続生産する。
六角ボルトなどのヘッド部分は鍛造されていることがほどんどです。
一方で鋳造品は高温に溶かした金属を目的の形状の鋳型に流し込み固めたものを指します。
いずれにしても、注意しておきたいのは鋳造品ならば鋳造自体から依頼したいのか?
あるいは、鋳造した粗品を支給して仕上げの切削加工を依頼したいのか?
鋳造を金型作成から製品の完成品までの一貫した依頼を希望する時の注意点
この場合は鋳型代をまず計算しなければいけません。
また生産ロット数の下限が設けられます。
鋳型代は製品の形状や大きさによってもまちまちですが、何よりも鋳造方法によっても違います。
鋳造には下記のような方法があります。
- 砂型鋳造
- 金型鋳造
- ロストワックス
- ダイカスト(ダイキャスト)
詳しい内容の説明は主旨から外れるので割愛しますが、鋳造にも色々あるんだよって分かってもらえればOKです。
そして、どの方法においても製品を作る(鋳造する)ための ”型” が必要になるのです。
その鋳型こそが初期費用として高額になります。
さらに、鋳型を作った場合はそこから1ロットで何個の製品を作るのか?ということも計算しなくてはいけません。
特に鋳型は一定数を生産するごとに作り替えをする必要があります。
当然、使用回数を重ねると鋳型も劣化してきますので寸法が大幅に狂ってくるからです。
仮に100個の製品を鋳造するたびに鋳型が1つ必要だとしたら、製品1個の値段は単純に鋳造代 + 鋳型代/100 ですね。
そこに送料や海外で生産する場合は税関・消費税などが加算されてきます。
そしてもう1つ。
海外との取引の場合、ルールとして前金を支払う必要性もあります。
前金の割合はその都度、取引内容によっても違いますが、例えば最初の鋳型代のみ全額で前払いするとかです。
また、生産ロット数(年間発注数)も重要な要素。
年間で数百個レベルでは到底仕事を受けてくれない場合もあれば、かなりの大物になる製品の売はそれでもアリということも。
年間を通してトータルで一体いくらの金額が動く仕事になるのかを見定めるでしょう。
ここの基準も各会社ごとによって異なります。
鋳造した粗品を支給して、切削加工仕上げのみを海外で依頼した場合の注意点
自社で鋳造したものがある。
あるいは、日本国内の協力会社で鋳造してもらったものがある。
それら鋳造した粗品に切削加工を加えて製品を仕上げて欲しいという場合には、大きな注意点が1つあるのです。
何でしょうか?
そう。
運賃です。
海外(台湾や中国)で鋳造もお願いする場合の運賃は入荷時のみ。
でも、材料(粗品)支給をする場合は、行きと帰りの運賃がダブル発生してしまいます。
しかも、運賃だけでなくその他梱包費用やら、税金やら色々余分な費用が付随してくるのです。
それでもなお、コストダウンに貢献できればよいのですが、正直なところおススメはできません。
台湾にしても、中国にしても日本国内よりも低コストで加工ができるというイメージを強く持っておられる方は多いですが、それは絶対ではありません。
場合によっては、現地加工価格の方が高くなることだってあります。
何故、そうなるのかについては不明ですね。
加工内容によって、ノウハウや技術の違いが時間的なコストを押し上げている可能性だってあります。
なので、もしも鋳造品あるいは鍛造品が手元にあるのなら、国内で加工対応できそうなところを探す方が結果的に低コストで抑えることができる可能性が高いでしょう。
一応、弊社でも協力してくれる加工屋さんを介してそういったお仕事も受けていますのでお問合せ下されば、可能な限り対応いたします。
金属を削り出す量産の仕事を海外(台湾や中国)に依頼する時の注意点
よくある部品図面だけど、数量が400個レベルでウチの社内じゃ対応が難しいなぁ。。。
よし!海外も含めて外注で対応してくれるところ探すか!
こうなった場合。
果たして、その400個という数字は量産と言ってよいのか?
それは図面内容によりますね。
まぁ、量産と言えるかどうかは別として問題点を挙げておこう。
何よりも問題になるのは納期。
自動機で生産できるものであれば、ちゃちゃっと加工はできるのでしょうけれど、その場合はロット数の問題が発生します。
自動機での加工の場合、通常は数百個レベルの仕事はほとんど受けてくれません。
善処してくれる会社でも、最低ロット500個以上ですかね。。。
なので、本当に微妙な100~400個レベルの仕事って難しい。
通常の町工場などで見かけるような、誰か人が付いて行う機械加工での対応の場合、400個を仮に2週間の納期で対応しようとすると、輸送日数や材料調達日数などを考えて実働7日間程度になることもあります。
そうすると、1日あたり約57個。
さて、できるかできないか?
こんな感じで、とにかくは納期の問題に直面しますね。
さらに、加工物が少し大きく重量もそこそこになる場合は、航空便での入荷ではなく、船便になります。
これが意味するのは、納期がかなり延びるということ。
船便は飛行機に比べて輸送費は安く済むのですが、発送後の翌日・翌々日に届くということはないのです。
ちなみに、弊社が台湾から金属部品を送ってもらう時によく利用してもらっているのがDHLです。
台湾からだと、翌日には空港に届きます。
荷物のサイズごとに金額が異なりますので、詳しくはDHLのホームページから調べてみてね。
実際の荷物はこんな感じです。
梱包もしっかりとやってから箱の中に部品を詰めます。
もしも、配送時に中の部品が破損するなんてことがあると困りますからね。。。
次の問題は品質管理。
数量が少ない場合は全数検査をしてくれます。
でも、400個レベルになるとさすがに・・・
やはり5個ごとに検査などで対応される可能性もありますね。
そうした場合の不良率の上昇は否めないところ。
こうした懸念もありますので、とりあえずは聞いてみるかなぁと思ったらお問合せください。
どうしたら最善かも含めて弊社では考えさせて頂きますので。
ではでは。
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