「日本のものづくり技術はすごいね!」
台湾に行くとそう言われることが多いし、本当の日本の現状を知らない台湾人は本気で思っているのでしょう。
確かにね。
日本の金属加工技術はすごいですよ。
本当にすごい会社はね。
でも、全然ダメなところは本当にダメ。
だから仕事も無くて弱体化している会社だっていっぱいある。
それを知らずに、日本はどこの会社もすごい技術を持っていると勘違いされていないかなぁとね。。。
正直、台湾の加工技術もすごいですから!
台湾の金属加工技術レベル
あなたは「ものづくり」と聞くとどのようなイメージを思い浮かべるだろうか。
ものづくりの形は実に様々です。
私のように主として金属部品加工に携わることも確かに「ものづくり」と言えますし、伝統工芸品の製造も「ものづくり」です。
ただ、ここでは金属部品加工に特化して話をしてみます。
例えば、何に使う部品かは置いておいて
こういった物も全て台湾で作れますし、実際に台湾現地の工場で撮影させてもらったものです。
全部片手で持てるくらいの大きさ。
もちろん、加工精度も高いものだって多いです。
このような、金属部品加工において最も重要なのは、加工をする工作機械です。
日本のメーカーやヨーロッパの主流メーカーの機械は価格がすごく高い。
でも、それだけ安定した機械精度が保たれたものである保障をしてくれるのです。
ものづくりの加工技術の半分は工作機械で決まると言ってもよいかもしれません。
職人の技術レベルをカバーしてくれるのも工作機械。
今はどんどんコンピューター制御された機械が出ているので、オペレーター(作業者)のレベルをカバーしてくれるのです。
部品加工の品質が優良な台湾企業の多くは、こうしたしっかりとしたメーカーの工作機械を導入しているところが多く、検査機器も検査員も非常に充実している。
だけど、そうでない会社だってあるんだよね・・・
そう、某国の機械のようなポンコツを安く購入して使っている会社。
台湾の町工場にある工作機械の裏話
工作機械の精度が優れていても、購入してから数年で機械自体が壊れてしまったり、ガタが出て精度が出にくくなっては元も子もないとあなたも思いますよね。
ところが、中国製や台湾製の工作機械の中には数年で壊れることが前提で作られている機械だってあるんです。
それも驚くべき価格で販売されている。
日本製の半分以下の値段の機械だってゴロゴロある。
先日、台湾に行ってビックリしたのは、旋盤加工用の工作機械1台をたったの100万円で購入したということだ。
(通常の工作機械なら1000万円は軽く超えることが多いです)
まぁ、これは例外的なケースだけれども、そんな機械で部品加工をして大丈夫か!?と心配にもなる。
『私なら絶対にそんな機械は不安で購入しない』
基本的には、安~い機械を導入したら数年で買い替えを考えるらしい。
日本の機械は10年は当たり前。
20年、30年と使い続ける。
昔ながらの電子制御ではない汎用機と呼ばれるものは、弊社でも40年以上前の機械が現役だ。
良いものを長く使うこと。
これが大切だと私は思うのだが、半分割り切っている様子も一部の台湾の企業ではあった。
それなりの機械を適当な期間だけ使うってね。
台湾の金属加工の技術の弱さは『熱処理技術』
金属部品加工の中には、熱処理工程を要するものもある。
熱処理は金属に熱を加えて硬度を高め、耐摩耗性や剛性を得るための工程です。
初めからあまりに硬い金属だと加工ができないので、加工を終えてから熱処理をし、最後に砥石などで研磨したりして仕上げます。
この熱処理ですが、実は金属部品加工において切削技術以上に重要なポイントなんです。
どんなに綺麗に金属加工ができても、熱処理が下手くそだと出来上がった品物の価値は超下落します。
日本の技術がすごく優れていると言われる1つの理由は、この熱処理技術が世界トップレベルだから。
台湾は加工技術は高いのですが、残念ながら熱処理技術や知識は低いと認めざるをえない状況であると言えます。
日本では常識であるルールを平気で破って熱処理をしたりする業者もいるらしい。
これでは折角の加工技術が台無しです。
実は、この記事を書いている前日にも台湾の熱処理が原因で1つトラブルがあったところなんです。。。。
内容を聞いたら、そりゃダメや・・・ってなりました(ガックリ)
台湾のみなさんはもっと切削加工以外のところにも目を向けなければ、ものづくりへの本当の信頼を勝ち取ることは難しいでしょう。
加工技術Aランク、熱処理技術Aランクが日本とするなら、台湾は加工技術Aランク、熱処理技術Cランクですね。
なので、総合評価が日本の方が上なんです。
これから先、私が関わる台湾の加工業者には、切削以外のところで注意してほしいことをバシバシ要求していくつもりです。
台湾で金属加工をやってもらいたいなぁと思う方へ
正直に申し上げます。
現状、台湾には金属加工技術のすごく高い会社は多くあります。
ですが!
やはり、熱処理工程や表面処理(メッキやコーティング)がある場合は極力、後工程だけでも日本でする方が安心です。
でも、熱処理のいらない加工はかなり強力な助っ人となりますよ!!
台湾でのものづくりにご興味のある方は是非お問合せくださいませ~
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